セルロース資源作物エリアンサスを利用した高分子複合材の開発

バイオ燃料源であるセルロース資源作物エリアンサスは非可食性であり,生産性が高く有望なエネルギー資源であるが,材料としての利用については報告が少ない.そこで,低環境負荷な繊維強化材料として,生産性の高いセルロース資源作物であるエリアンサス繊維で強化したポリプロピレン複合材料の開発を検討した.エリアンサス繊維を粉砕し,篩のサイズ別に分級した粉末とポリプロピレンを二軸混練エクストルーダーにて複合化を行った.得られた複合材の機械的特性を引張試験および曲げ試験により評価を行った.樹脂と充填剤である繊維との界面の密着性を相溶化剤である無水マレイン酸変性ポリプロピレンを添加して改善した結果,無添加時に比べて...

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Published in高分子論文集 Vol. 71; no. 1; pp. 31 - 37
Main Authors 李, 喜星, 脇坂, 港, 長澤, 教夫, 西田, 治男, 安藤, 義人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2014
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Summary:バイオ燃料源であるセルロース資源作物エリアンサスは非可食性であり,生産性が高く有望なエネルギー資源であるが,材料としての利用については報告が少ない.そこで,低環境負荷な繊維強化材料として,生産性の高いセルロース資源作物であるエリアンサス繊維で強化したポリプロピレン複合材料の開発を検討した.エリアンサス繊維を粉砕し,篩のサイズ別に分級した粉末とポリプロピレンを二軸混練エクストルーダーにて複合化を行った.得られた複合材の機械的特性を引張試験および曲げ試験により評価を行った.樹脂と充填剤である繊維との界面の密着性を相溶化剤である無水マレイン酸変性ポリプロピレンを添加して改善した結果,無添加時に比べて機械的特性を大幅に改善することができた.また,分級した繊維を充填剤に利用した結果,繊維の表面積の違いが機械的特性,そして熱分解性に大きく影響することがわかった.エリアンサス繊維のサイズを制御することによって,エリアンサスがポリプロピレンの繊維強化成分として機能することは十分に期待できることがわかった.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.71.31