Basedow病におけるマイクロゾーム抗体陽性血清の活性酸素増加作用

生体内で産生された活性酸素は生体が外界から傷害を受けた場合, その防御作用に関与するといわれているが, 過剰に産生されると, 酸素毒性として細胞の破壊を生じると考えられている1). 最近, 自己免疫疾患であるSLE患者の血清中には正常人好中球を刺激して, 活性酸素(active oxygen, 以下AO)産生を高め, さらにそれによって組織傷害を引き起こす因子が存在することが報告されている2~4). その他に, AO産生因子として免疫複合体や補体を介する機構が示唆されている1). さて, 他の自己免疫疾患でも同様な因子が存在するか否かは, 興味ある問題である. そこで筆者らは, 甲状腺の自己免...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in炎症 Vol. 8; no. 2; pp. 137 - 139
Main Authors 森本, 康男, 谷口, 洋, 山城, 有機, 馬場, 茂明, 茂幾, 隆輝, 小倉, 一, 丹羽, 靱負
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 01.03.1988
日本炎症学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:生体内で産生された活性酸素は生体が外界から傷害を受けた場合, その防御作用に関与するといわれているが, 過剰に産生されると, 酸素毒性として細胞の破壊を生じると考えられている1). 最近, 自己免疫疾患であるSLE患者の血清中には正常人好中球を刺激して, 活性酸素(active oxygen, 以下AO)産生を高め, さらにそれによって組織傷害を引き起こす因子が存在することが報告されている2~4). その他に, AO産生因子として免疫複合体や補体を介する機構が示唆されている1). さて, 他の自己免疫疾患でも同様な因子が存在するか否かは, 興味ある問題である. そこで筆者らは, 甲状腺の自己免疫疾患であるBasedow病の, 特にマイクロゾーム抗体を有する患者の血清について検討したので報告する. 方法 マイクロゾーム抗体陽性の男性9人および女性12人のBasedow病患者, および9人のマイクロゾーム抗体を有さない健常人より空腹時血清を得た. 好中球は健常人末梢血より分離し5), 5mM glucoseと1mg/ml gelatinを含んだKrebs-Ringer phosphate buffer(KRP)6)に浮遊し, 測定に供した.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.8.137