施設入所高齢者における低強度運動負荷時の心拍変動 周波数解析を用いた自律神経活動の評価

本研究では,平均年齢70.2 ± 5.8歳の10名の高齢者を対象に,カルボーネンの式から求めた30%および50%の運動強度にて自転車エルゴメータを用いた5分間の運動負荷前後の自律神経機能変化を検討した。方法としては,心電図を分解能1 msecで直接デジタル記録して求めたRR間隔から,心拍変動の周波数成分分析により交感神経および副交感神経の機能バランスを評価した。その結果,交感神経機能は運動により亢進し,運動終了後もしばらく継続した。この変化は,運動強度が50%負荷の方がやや遷延する傾向にあるものの,両負荷強度間で自律神経機能の変化に有意差はなかった。副交感神経機能は,運動により抑制され運動終了...

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Published in理学療法学 Vol. 33; no. 1; pp. 1 - 6
Main Authors 西田, 裕介, 樋渡, 正夫, 丸山, 仁司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 20.02.2006
日本理学療法士協会
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Summary:本研究では,平均年齢70.2 ± 5.8歳の10名の高齢者を対象に,カルボーネンの式から求めた30%および50%の運動強度にて自転車エルゴメータを用いた5分間の運動負荷前後の自律神経機能変化を検討した。方法としては,心電図を分解能1 msecで直接デジタル記録して求めたRR間隔から,心拍変動の周波数成分分析により交感神経および副交感神経の機能バランスを評価した。その結果,交感神経機能は運動により亢進し,運動終了後もしばらく継続した。この変化は,運動強度が50%負荷の方がやや遷延する傾向にあるものの,両負荷強度間で自律神経機能の変化に有意差はなかった。副交感神経機能は,運動により抑制され運動終了後速やかに回復し,両負荷強度間に差を認めなかった。以上の結果から,高齢者においては,30%および50%の運動強度間で自律神経機能の反応性に差がない事が明らかとなった。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00004224904