白血球膜の粘着性糖蛋白について
シンポジウム“微小循環における血管と白血球の反応”のうち「白血球膜の粘着性糖蛋白について」と題してお話をさせていただきますが, その前にこのような機会をお与え下さいました鹿島先生, 神原先生に深謝いたします. さて, 好中球や単球またはマクロファージが炎症反応部位に遊走し, 異物や細菌または細胞変性物を貪食したり, リンパ球が異種細胞や自己の変異細胞を認識し破壊するためには, まずこれらの白血球細胞が異物や細胞などと接着することが第一段階として必要です. 近年, このような白血球細胞が細胞どうし, または組織や異物と接着(粘着)するには, それらの細胞の膜表面に発現されるある種の糖蛋白が関与す...
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Published in | 炎症 Vol. 8; no. 3; pp. 209 - 215 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本炎症・再生医学会
01.05.1988
日本炎症学会 |
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ISSN | 0389-4290 1884-4006 |
DOI | 10.2492/jsir1981.8.209 |
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Summary: | シンポジウム“微小循環における血管と白血球の反応”のうち「白血球膜の粘着性糖蛋白について」と題してお話をさせていただきますが, その前にこのような機会をお与え下さいました鹿島先生, 神原先生に深謝いたします. さて, 好中球や単球またはマクロファージが炎症反応部位に遊走し, 異物や細菌または細胞変性物を貪食したり, リンパ球が異種細胞や自己の変異細胞を認識し破壊するためには, まずこれらの白血球細胞が異物や細胞などと接着することが第一段階として必要です. 近年, このような白血球細胞が細胞どうし, または組織や異物と接着(粘着)するには, それらの細胞の膜表面に発現されるある種の糖蛋白が関与することが明らかになってきました. この現象の発見は先天的に白血球膜上の糖蛋白が欠損し, 好中球の粘着, 遊走および貪食に不全を示す新しい免疫不全症が見出されたことに端を発しています. 本日はこの白血球膜蛋白の欠損する疾患にみられる白血球の機能異常とその欠損膜蛋白の種類, 性状および構造について述べますが, 実はこの欠損膜蛋白は構造上からも機能上からも種々の細胞に広く存在し, 細胞間または細胞と組織間の接着に関わるレセプター蛋白の一群と相同のものであることが最近の研究で明らかにされてまいりました. |
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ISSN: | 0389-4290 1884-4006 |
DOI: | 10.2492/jsir1981.8.209 |