成長する架橋剤—RAFT重合によりビニル基間の鎖長を変化させる架橋剤の合成とそれを用いたゲル化

ゲルの構造制御方法の一つとして,可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤として機能する構造を有するジビニル架橋剤(dv-CTA)を設計し,ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) (PNIPAAm)ゲルの合成を行った.RAFT剤/架橋剤としてdv-CTAのみを用いた場合にはゲル化には至らなかったが,従来のジビニル架橋剤であるN,N′-メチレンビスアクリルアミド(BIS)を併用したところ,種々の条件でゲル化が進行した.また,架橋能をもたないRAFT剤とBISを併用した場合に比べて,dv-CTAを用いることによってゲル化に必要な架橋剤量が低減し,架橋効率が向上することがわかった.架橋剤にRAFT剤として...

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Published in高分子論文集 Vol. 72; no. 7; pp. 440 - 446
Main Authors 伊田, 翔平, 古川, 翔一, 谷本, 智史, 廣川, 能嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2015
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Summary:ゲルの構造制御方法の一つとして,可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤として機能する構造を有するジビニル架橋剤(dv-CTA)を設計し,ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) (PNIPAAm)ゲルの合成を行った.RAFT剤/架橋剤としてdv-CTAのみを用いた場合にはゲル化には至らなかったが,従来のジビニル架橋剤であるN,N′-メチレンビスアクリルアミド(BIS)を併用したところ,種々の条件でゲル化が進行した.また,架橋能をもたないRAFT剤とBISを併用した場合に比べて,dv-CTAを用いることによってゲル化に必要な架橋剤量が低減し,架橋効率が向上することがわかった.架橋剤にRAFT剤としての機能を付与することにより,重合中にビニル基間の鎖長が増加するため,効率よく架橋が進行し,ゲルの構造不均一性として知られる未反応ビニル基およびぶら下がり鎖が少なくなったと考えられる.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.2014-0098