喫煙者が加熱式タバコを「タバコを吸い続けるための逃げ道」とするプロセス

目的:紙巻きタバコを使用していた喫煙者が,加熱式タバコを習慣的に使用するようになり喫煙に関する態度・行動が変化するプロセスを明らかにし,保健指導の示唆を得ること。方法:対象者に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。データ収集期間は2019年5月〜8月であった。結果:喫煙者は常に非喫煙者との人間関係を意識していた。心置きなくタバコを吸えないもどかしさに悩まされる中,加熱式タバコに出合い,後ろめたさをごまかしながら使用する。そして加熱式タバコにより,遠慮なくタバコを生活習慣として成り立たせる術を手に入れ,喫煙本数の増加や禁煙意識の低下が起きていた。結論:タ...

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Published in日本看護研究学会雑誌 Vol. 45; no. 5; pp. 5_937 - 5_950
Main Authors 尾﨑, 伊都子, 宮田, 瑠里子, 門間, 晶子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本看護研究学会 20.01.2023
Subjects
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ISSN2188-3599
2189-6100
DOI10.15065/jjsnr.20220403179

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Summary:目的:紙巻きタバコを使用していた喫煙者が,加熱式タバコを習慣的に使用するようになり喫煙に関する態度・行動が変化するプロセスを明らかにし,保健指導の示唆を得ること。方法:対象者に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。データ収集期間は2019年5月〜8月であった。結果:喫煙者は常に非喫煙者との人間関係を意識していた。心置きなくタバコを吸えないもどかしさに悩まされる中,加熱式タバコに出合い,後ろめたさをごまかしながら使用する。そして加熱式タバコにより,遠慮なくタバコを生活習慣として成り立たせる術を手に入れ,喫煙本数の増加や禁煙意識の低下が起きていた。結論:タバコを吸いにくい環境であれば行動変容の機会が訪れるかもしれない喫煙者に対して,加熱式タバコが禁煙から遠ざかるという逃げ道を与えてしまう可能性やニコチン依存が強固になる可能性に留意する必要がある。
ISSN:2188-3599
2189-6100
DOI:10.15065/jjsnr.20220403179