参加観察を用いた終末期がん療養者と家族に対する訪問看護師のケア行動内容の時間割合の分析

本研究の目的は,参加観察法により,終末期がん療養者と家族に対する,訪問看護師の時期別のケア行動内容の時間割合を明らかにすることである。研究対象者である訪問看護師に同行し,ケア行動を消極的参加観察法により記述し,終末期中期・後期の時期別,家族の同席時・非同席時別に分析した。その結果,中期では同席割合が低いにもかかわらずケア時間の半分以上が家族ケア行動となり,後期では家族同席割合が有意に高く(p<.05),家族への看取りに向けた支援と看取り直後の支援の時間割合が有意に高かった。終末期中期は,療養者の様々な症状の変化への対応と家族の負担軽減のために家族ケア行動の時間が長く,終末期後期に家族同席割合が...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本看護研究学会雑誌 Vol. 43; no. 2; pp. 2_231 - 2_244
Main Authors 藤本, 桂子, 京田, 亜由美, 小沼, 美加, 神田, 清子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本看護研究学会 20.06.2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2188-3599
2189-6100
DOI10.15065/jjsnr.20200109081

Cover

Loading…
More Information
Summary:本研究の目的は,参加観察法により,終末期がん療養者と家族に対する,訪問看護師の時期別のケア行動内容の時間割合を明らかにすることである。研究対象者である訪問看護師に同行し,ケア行動を消極的参加観察法により記述し,終末期中期・後期の時期別,家族の同席時・非同席時別に分析した。その結果,中期では同席割合が低いにもかかわらずケア時間の半分以上が家族ケア行動となり,後期では家族同席割合が有意に高く(p<.05),家族への看取りに向けた支援と看取り直後の支援の時間割合が有意に高かった。終末期中期は,療養者の様々な症状の変化への対応と家族の負担軽減のために家族ケア行動の時間が長く,終末期後期に家族同席割合が高いのは,療養者のADLの低下から家族の援助が必須となり,看護師による家族への支援が必要になるためであると考える。訪問看護師は,療養者がどのような時期にあるかに応じて療養者と家族へケア行動を実施していることが示唆された。
ISSN:2188-3599
2189-6100
DOI:10.15065/jjsnr.20200109081