入院している統合失調症者の人生の意味の関連要因

目的:統合失調症者は未来への不安が強く,生きる意味を感じづらい傾向があり,それらは退院を阻害している。希望をもつことや情緒的なサポートを実感することが人生の意味を高め,回復につながると考えた。本研究では,人生の意味,時間的展望,情緒的サポートの関連を明らかにすることを目的とした。方法:入院中の統合失調症者48名から人生の意味を測定するPILテスト,時間的展望体験尺度,情緒的支援ネットワーク尺度の回答を得た。データの相関関係を算出し,さらに共分散構造分析を用いてパスモデルを作成した。結果:時間的展望は人生の意味に影響していることが認められた。また,妄想上の人物による情緒的サポートが目標をもつ支え...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本看護研究学会雑誌 Vol. 44; no. 5; pp. 5_709 - 5_719
Main Authors 小川, 賀惠, 森, 千鶴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本看護研究学会 20.01.2022
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:目的:統合失調症者は未来への不安が強く,生きる意味を感じづらい傾向があり,それらは退院を阻害している。希望をもつことや情緒的なサポートを実感することが人生の意味を高め,回復につながると考えた。本研究では,人生の意味,時間的展望,情緒的サポートの関連を明らかにすることを目的とした。方法:入院中の統合失調症者48名から人生の意味を測定するPILテスト,時間的展望体験尺度,情緒的支援ネットワーク尺度の回答を得た。データの相関関係を算出し,さらに共分散構造分析を用いてパスモデルを作成した。結果:時間的展望は人生の意味に影響していることが認められた。また,妄想上の人物による情緒的サポートが目標をもつ支えとなっていた。結論:妄想を問題視するのではなく,妄想を持ちながらも現実に根ざした現在と未来を描けるよう障害を受容し,障害とつきあっていく実感や自信をもてる援助の必要性が示唆された。
ISSN:2188-3599
2189-6100
DOI:10.15065/jjsnr.20210406136