無治療にて自然退縮を認めた高齢者肺扁平上皮癌の1例

症例は82歳男性である.X年3月に左下葉肺炎で入院となった.抗菌薬治療中に,右肺上葉の結節影を指摘され当科紹介受診となった.同年4月に気管支鏡検査を施行し,病理組織診断で非角化型扁平上皮癌と診断した.精査の結果,cT1bN3M1b,StageIVとなり抗癌剤投与を検討したが,高齢であることや,経過中緩徐に進行する汎血球減少を来したことから骨髄異形成症候群が疑われ,抗癌剤治療は困難と判断し外来で経過観察とした.しかしながら,同年7月のCTで右肺上葉の結節影の縮小を認め,X+1年8月に施行した全身検索でも結節は縮小していた.FDG-PET上,リンパ節や副腎の集積も著明に低下しており,全身性に癌が自...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 54; no. 4; pp. 555 - 559
Main Authors 濱谷, 広頌, 山本, 寛, 野木森, 智江美, 佐塚, まなみ, 野中, 敬介, 山田, 浩和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.10.2017
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.54.555

Cover

More Information
Summary:症例は82歳男性である.X年3月に左下葉肺炎で入院となった.抗菌薬治療中に,右肺上葉の結節影を指摘され当科紹介受診となった.同年4月に気管支鏡検査を施行し,病理組織診断で非角化型扁平上皮癌と診断した.精査の結果,cT1bN3M1b,StageIVとなり抗癌剤投与を検討したが,高齢であることや,経過中緩徐に進行する汎血球減少を来したことから骨髄異形成症候群が疑われ,抗癌剤治療は困難と判断し外来で経過観察とした.しかしながら,同年7月のCTで右肺上葉の結節影の縮小を認め,X+1年8月に施行した全身検索でも結節は縮小していた.FDG-PET上,リンパ節や副腎の集積も著明に低下しており,全身性に癌が自然退縮したと考えられた.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.54.555