上顎両側犬歯抜歯により治療を行った外科的矯正治療症例

前歯部の叢生を伴う矯正歯科治療の場合,主訴の改善のため第一小臼歯を便宜抜歯することが多い.しかしながら,個々の歯や歯周組織,皮質骨の状態,咬合状態や補綴物の状況により第一小臼歯以外の抜歯部位を考慮することも多々ある.本症例は,初診時年齢28歳1か月の女性,他院にて可撤式床矯正装置による歯列拡大を行っていたが通院が途絶え,矯正歯科治療を中断した既往がある.当院には,重度の叢生及び下顎の前突感を主訴として来院した.上顎右側犬歯に著しい歯肉退縮およびCBCT所見より皮質骨の菲薄化を認めたことを一因とし,矯正検査・診断の結果,上顎両側犬歯抜歯を伴う外科的矯正治療を施行することとした.矯正装置撤去時にお...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 81; no. 6; pp. 597 - 604
Main Authors 宮澤, 平, 芳賀, 秀郷, 高良, 有理江, 桂田, 真理奈, 冨田, 大介, 代田, 達夫, 槇, 宏太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2022
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.81.597

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Summary:前歯部の叢生を伴う矯正歯科治療の場合,主訴の改善のため第一小臼歯を便宜抜歯することが多い.しかしながら,個々の歯や歯周組織,皮質骨の状態,咬合状態や補綴物の状況により第一小臼歯以外の抜歯部位を考慮することも多々ある.本症例は,初診時年齢28歳1か月の女性,他院にて可撤式床矯正装置による歯列拡大を行っていたが通院が途絶え,矯正歯科治療を中断した既往がある.当院には,重度の叢生及び下顎の前突感を主訴として来院した.上顎右側犬歯に著しい歯肉退縮およびCBCT所見より皮質骨の菲薄化を認めたことを一因とし,矯正検査・診断の結果,上顎両側犬歯抜歯を伴う外科的矯正治療を施行することとした.矯正装置撤去時における上顎両側犬歯部歯肉は初診時と比較しても大きな歯肉の退縮等の変化は認められなかった.また外科的矯正治療を適用したことで,患者の主訴である形態的不調和は改善され,かつ機能的咬合が得られたため治療前後での骨格および咬合の変化について報告する.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.81.597