矯正診断法の新しい展開 先進技術の導入と生体情報の統合化

顎顔面領域における機能と形態に関する問題は, 古くから論議されつづけてきた. とくに小児から成人にいたる幅広い年齢層を対象とする矯正臨床においては, その両者の関連性が成長発育や老化によってどのような局面を呈するのか, そして, どの段階まで治療可能であるかを把握することが重要な研究課題となっている. これは, ヒト咀嚼器官形成の本質を探ることでもあり, かつ経験則によって用いられている治療術式の生物学的な基盤を確立することにもつながる. 一方, 従来の矯正診断法には, 形態的な特徴の抽出とその異常の改善に焦点を置くものが多く, セファロ分析に代表されるような顎骨の大きさや前後的位置関係の評価...

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Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 21; no. 1; pp. 144 - 151
Main Authors 槇, 宏太郎, 中納, 治久, 久保田, 雅人, 土岐, 泰弘, 山口, 徹太郎, 薄井, 俊朗, 宮崎, 芳和, 柴崎, 好伸, 伊能, 教夫, 高西, 淳夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 31.03.2001
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Summary:顎顔面領域における機能と形態に関する問題は, 古くから論議されつづけてきた. とくに小児から成人にいたる幅広い年齢層を対象とする矯正臨床においては, その両者の関連性が成長発育や老化によってどのような局面を呈するのか, そして, どの段階まで治療可能であるかを把握することが重要な研究課題となっている. これは, ヒト咀嚼器官形成の本質を探ることでもあり, かつ経験則によって用いられている治療術式の生物学的な基盤を確立することにもつながる. 一方, 従来の矯正診断法には, 形態的な特徴の抽出とその異常の改善に焦点を置くものが多く, セファロ分析に代表されるような顎骨の大きさや前後的位置関係の評価が治療法の選択に直結している. これは, 先人らが治験例から症例の難易を分類し, より適切な治療論理を構築していく上で避けることのできない過程であったとも考えられる.
ISSN:0285-922X
2186-5396
DOI:10.11516/dentalmedres1981.21.144