チューイングによるストレス緩和:fMRIを用いて

【目的】今回、ストレスに及ぼすチューイングの脳内メカニズムを検討するために、fMRIを用い、ストレス負荷による扁桃体と前頭前野の応答に及ぼすチューイングの影響を検索した。さらに、ストレス負荷時の血中ストレスマーカの挙動変化に及ぼすチューイングの影響を検討するために、これら物質の血中濃度変化を計測した。 【対象および方法】倫理委員会の承認を得、インフォームドコンセントを十分に行い、文書による承諾を得た21歳から54歳までの男性14名、女性4名の健常なボランティアを対象とした。撮像にはfMRI(BOLD法)を用いてSPM5にて解析した。Taskデザインには、ブロックデザインを用い、Task 1では...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 60; p. 169
Main Authors 丹羽, 政美, 荒川, 裕子, 今村, 裕司, 高橋, 尚宏, 土屋, 大輔, 小野江, 雅之, 小森, 竜太, 西田, 知弘, 近松, 克修, 土屋, 十次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2011
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.60.0.169.0

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Summary:【目的】今回、ストレスに及ぼすチューイングの脳内メカニズムを検討するために、fMRIを用い、ストレス負荷による扁桃体と前頭前野の応答に及ぼすチューイングの影響を検索した。さらに、ストレス負荷時の血中ストレスマーカの挙動変化に及ぼすチューイングの影響を検討するために、これら物質の血中濃度変化を計測した。 【対象および方法】倫理委員会の承認を得、インフォームドコンセントを十分に行い、文書による承諾を得た21歳から54歳までの男性14名、女性4名の健常なボランティアを対象とした。撮像にはfMRI(BOLD法)を用いてSPM5にて解析した。Taskデザインには、ブロックデザインを用い、Task 1では、32秒間のストレス刺激提示の後、32秒間のコントロールを行い、これを4回繰り返した。Task 2では、ストレス刺激下でガムチューイングを32秒間行った後、32秒間コントロール状態を設定し、これを4回繰り返した。ストレス刺激は、非常ベル音と爆発音の合成音(95db)を用い、被験者にはヘッドホンを介して提示した。ストレスの程度を判定するために、視覚的アナログ尺度、VASを用いた。また、ストレスマーカの血中濃度測定のため、ストレス課題提示を5分間行った前後に採血し、アドレナリン、ノルアドレナリン、ACTHの濃度を測定した。 【結果】ストレス刺激により扁桃体と前頭前野の賦活、およびアドレナリン、ノルアドレナリン、ACTHの血中濃度の上昇が起こること、そして、これらのストレスによる変化は、ガムチューイングにより抑制されることが明らかになった。さらに、VASによるストレス評価においてストレス度が44%軽減した。 【結語】噛む動作は、大脳辺縁系の扁桃体と前頭前野のストレス応答を抑制することにより、HPA軸や交感神経系の機能亢進を軽減させることがヒトにおいて明らかになった。
Bibliography:2B-5
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.60.0.169.0