病院内での母乳育児相談室の開設を試みて

妊娠・出産する母親にとって母乳栄養は多くのメリットがあり、当院でも母乳栄養の推進を図っていくよう、全スタッフが意欲的に看護援助・指導に取り組んでいる。  出産退院後、7から10日目に当院より電話訪問し、家庭での様子の把握や育児相談を行なっている。その後も母親からの乳房トラブルなどの問い合わせが、病棟助産師に対し個別にある状況で、その直接対応に平日・休日を問わずケアの受け入れをしていたが、個々の助産師の判断に任されていた。  そこで、病棟助産師の取り組みについて話し合いを持ち、まず産後1ヶ月健診で母乳相談の関わり方、母乳不足感などの不安への軽減に関わり、対応を検討した。その後、母乳・育児相談室「...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 116
Main Authors 三浦, 未希, 片岡, やよい, 滝本, すみよ, 横山, 美穂, 鈴木, 聖子, 田中, 美穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.116.0

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Summary:妊娠・出産する母親にとって母乳栄養は多くのメリットがあり、当院でも母乳栄養の推進を図っていくよう、全スタッフが意欲的に看護援助・指導に取り組んでいる。  出産退院後、7から10日目に当院より電話訪問し、家庭での様子の把握や育児相談を行なっている。その後も母親からの乳房トラブルなどの問い合わせが、病棟助産師に対し個別にある状況で、その直接対応に平日・休日を問わずケアの受け入れをしていたが、個々の助産師の判断に任されていた。  そこで、病棟助産師の取り組みについて話し合いを持ち、まず産後1ヶ月健診で母乳相談の関わり方、母乳不足感などの不安への軽減に関わり、対応を検討した。その後、母乳・育児相談室「たんぽぽ」を開設し、母乳栄養支援・育児相談を導入し始めた。  その結果、相談室で助産師が直接関わることで、ライフサイクルの中での授乳の様子をじっくり把握し、母乳分泌状態の確認・マッサージ等のアドバイスなどに介入することができ、産後1ヶ月以降の授乳期の母乳支援へと踏み出すことができている。  助産師は、効果的な母乳栄養支援のための大きなきっかけを得ることができ、また母親にとっても相談窓口が開設され、より利用しやすくなったと考える。  また、地域の保健所・保健センターとの連絡会議における情報交換より、当院で分娩した保健所管内の母乳率の推移は、1ヶ月時で32%(平成15年度)から41%へ上昇(平成16年度)、また3ヶ月で29%(平成15年度)から51.6%へ上昇(平成16年度)した、との結果が得られた。この統計は、保健所支所管内での調査につき当院での6割の分娩利用者の推移であるが、他施設での分娩利用者を含めた支所管内の母乳率の場合に比較し、高率を示し始めている傾向もとらえることができた。  さらに、母乳支援に取り組んでいく中、1から2回/日人工栄養に頼るものの、ほとんど母乳を継続できているケースについて調査項目では混合栄養群とされ、母乳率の対象外とされてきたが、それらを含めた母乳率は当院で60%とみなすことができる。夜間に人工乳を利用することで「よく寝てくれる」、「預ける場合の手段」として活用するなど母乳栄養継続・母乳栄養支援の対象者ととらえ、生活サイクルの規律や母親自身の育児法の確信に有効に利用している群として今後も内容を把握していく必要があるととらえている。  昨今の核家族化また育児不安への対応の重要性など含め、当院では2年後に控えた病院新築構想に子育て支援部門での育児への支援についても関わりを深めその具体的取り組み、また母乳育児サークルの立ち上げに努め、母親同士の仲間作りの広がりをバックアップさせていくよう取り組んで行きたい。 また、育児支援も含めた母乳相談へ引き続き取り組み、地域の母乳栄養支援を継続していきたい。
Bibliography:1G105
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.116.0