院内ストーマ患者会の取り組みと今後の課題
〈はじめに〉当院のストーマ患者会「一の木会」(以下、患者会)は、ストーマセルフケアおよび日常生活への支援とストーマ保有者(以下、オストメイト)同士の交流を深める場を通し精神的支援を図ることを目的として平成元年に発足した。患者会の対象は、オストメイトとその家族である。発足後20年の間には、参加人数が数名にまで減少した時期があり、患者会の広報活動や内容を見直した。その活動の取り組みと今後の課題を検討したので報告する。 〈目的〉患者会の活動内容を振り返り、今後の課題を見出すことで、患者のニーズに沿った患者会の運営に活かすことができる。 〈活動内容〉患者会の運営は、看護部健康管理委員会が主催し、第1木...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 57; p. 363 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2008
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.57.0.363.0 |
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Summary: | 〈はじめに〉当院のストーマ患者会「一の木会」(以下、患者会)は、ストーマセルフケアおよび日常生活への支援とストーマ保有者(以下、オストメイト)同士の交流を深める場を通し精神的支援を図ることを目的として平成元年に発足した。患者会の対象は、オストメイトとその家族である。発足後20年の間には、参加人数が数名にまで減少した時期があり、患者会の広報活動や内容を見直した。その活動の取り組みと今後の課題を検討したので報告する。 〈目的〉患者会の活動内容を振り返り、今後の課題を見出すことで、患者のニーズに沿った患者会の運営に活かすことができる。 〈活動内容〉患者会の運営は、看護部健康管理委員会が主催し、第1木曜日、平日の午後に1時間開催している。第1木曜日に開催していたことから、「一の木会」の名称がついた。発足当初は、年10回開催していたが、徐々に参加人数が減少し数名という時期が続いた。そこで、患者会の参加増員を図るため、開催回数や内容に関してオストメイトに要望を聞き、そのニーズに合わせて検討した。また、オストメイトに患者会開催の周知を図るために、外来前など院内の10ヶ所に患者会の開催日時と具体的な内容を明記したカラーポスターを掲示した。そのほか、外来のテレビにテロップを流した。ストーマ外来では受診者へポスターを配布し広報活動を実施した。更に、開催当日には、患者会の開催内容と開始時間を院内放送で流し参加を呼びかけた。入院中のオストメイトには、病棟看護師が患者会の紹介を行った。平成17年からは開催回数を年4回とし、内容は、ストーマケアや日常生活に関すること、新製品の情報提供、社会福祉制度、災害時の対策などであり、医師、認定看護師、病棟看護師らによる講習会を中心に実施している。他に、患者会に参加しているオストメイトが主体となり年1回日帰り温泉旅行を開催している。 〈結果〉オストメイトの平均参加人数は、平成15年度は7.8名であったが、平成19年度には、20.7名と増加し、定着している。その過半数は、継続して参加しているオストメイトである。患者会に参加したオストメイトに患者会の情報源を尋ねたところ、大多数が「ポスターやテレビのテロップで知った」と答えており、その効果が表れている。また、患者会への要望として、「他のオストメイトの話が聞きたい」「オストメイト同士の交流を持ちたいが1時間では時間が不足している」「仕事があるため平日参加は無理」「交通手段が困難である」などの意見が聞かれている。 〈考察〉オストメイトの要望を重視し開催回数や内容を検討するとともに、広報活動を増やした結果、ニーズに沿った内容が実施でき患者会の参加者が増加したと考える。今後は、新しくストーマ造設したオストメイトや若い年齢層の参加を促すために、開催日時などの検討を行うほか、患者会の内容をホームページや院内新聞に掲載するなど違った角度からのアピールも検討する必要がある。 また、最近では参加者からオストメイト同士の交流を望む声が聞かれるようになった。これは、患者会の内容が講習会中心であったため、その時間が少なかったことが影響していると考える。そのため、今後はオストメイトの交流を深める内容を充実させ、患者会の評価を行い、ニーズを把握したうえで企画運営することが必要であると考える。 |
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Bibliography: | 2J316 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.57.0.363.0 |