大腸癌化学療法FOLFIRI・FOLFOXを施行した36例(第3報)

〈緒言〉近年進行・再発の大腸癌に対してFOLFIRI, FOLFOX法は標準化学療法として定着してきた. 2005年4月6日にはオキサリプラチンが我が国でも薬価収載となり, FOLFOXの治療が可能な環境が整った.しかしながらオキサリプラチンの投与量が85mg/m2に制限されており, 使用可能なプロトコールはFOLFOX4またはmFOLFOX6に制限されている. 当院では2004年11月より, 進行・再発大腸癌に対してFOLFIRI法(de Gramont regimen)を導入し, その後mFOLFOX6, FOLFOX4を取り入れ,その効果と副作用について検討したので報告する.〈方法〉20...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 316
Main Authors 矢口, 豊久, 田中, 友里, 都島, 由希子, 渡部, 俊也, 猪川, 祥邦, 菅江, 崇, 柴田, 有宏, 高瀬, 恒信, 中山, 茂樹, 梶川, 真樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2007
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Summary:〈緒言〉近年進行・再発の大腸癌に対してFOLFIRI, FOLFOX法は標準化学療法として定着してきた. 2005年4月6日にはオキサリプラチンが我が国でも薬価収載となり, FOLFOXの治療が可能な環境が整った.しかしながらオキサリプラチンの投与量が85mg/m2に制限されており, 使用可能なプロトコールはFOLFOX4またはmFOLFOX6に制限されている. 当院では2004年11月より, 進行・再発大腸癌に対してFOLFIRI法(de Gramont regimen)を導入し, その後mFOLFOX6, FOLFOX4を取り入れ,その効果と副作用について検討したので報告する.〈方法〉2004年10月から2007年4月までの2年6ヶ月の間にFOLFIRI, mFOLFOX6, FOLFOX4を含む治療を行った進行・再発症例36例, 平均年齢61.3歳(23-84歳)を対象とした. 男性20例, 女性16例, Performance status 0; 32名, 1; 4名であった. 2週間または3週間に1回投与した. これらの治療後, なおPerformance statusを維持している症例については肝動注療法, 放射線療法, UFT/Uzel内服, S1内服などの治療へ移行した.〈結果〉36例中, 投与開始後2ヶ月以上経過して効果を評価した.35例のうちCR 0, PR 13, SD 14, PD 8例であった. これらの症例の累積生存率を示す(図1). 2年5ヶ月を経過したところでの50%生存期間は21.0ヶ月, 50%Progression Free Survival は7.4ヶ月であった(図2). 副作用としては, 36例中投与が直接の原因と思われる死亡例を2例に認めた.1例はFOLFIRI投与後GCSF投与に反応しない白血球減少, もう1例はFOLFOX4投与後,重度の間質性肺炎であった. そのほか12例にGrade 1以上の白血球減少を認めた. またGrade 1以上の脱毛を9例, 食欲低下を15例,に認めた. 〈考察〉Tournigandら(2004)はFOLFIRI施行後のFOXFOX6投与においてMean Survival Rateを21.5ヶ月と報告している. FOLFIRI・FOLFOX法は欧米で2週間毎の治療を基本として効果のエビデンスが論じられた. 進行・再発症例に対して新たな道を開く一方で,重篤な副作用も認められる. 慎重な投与が必要であり,2週間毎の投与にこだわらなくても十分な結果が得られることが示唆された.
Bibliography:2F215
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.316.0