反復性の内旋動作により肩甲下筋機能不全が示唆された一症例 Cine-MRI(FIESTA法)による肩甲下筋の機能評価
【目的】 2011年肩の運動機能研究会にてCine-MRI(以下,FIESTA法)の腱板機能評価としての有効性を報告した.今回FIESTA法にて腱板機能評価中に,肩甲下筋の収縮不全が疑われた一症例について報告する. 【症例紹介】 性別:男性.年齢:32歳身長:165㎝体重:61kgBMI:22.4運動歴:沖縄県の伝統舞踊エイサー太鼓.8年間.週1〜2回,練習時間3時間一回の演舞は20分間連続して行う. 【理学評価】 ROM(IR).RtTh6.LtTh3.(ER)Rt45°Lt60°(IR2)Rt55°Lt70°(IR3)Rt30°Lt45°整形外科テスト(Lift off test)Rt+L...
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Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 31; p. 20 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2012
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Subjects | |
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ISSN | 0916-9946 2187-123X |
DOI | 10.14901/ptkanbloc.31.0_20 |
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Summary: | 【目的】 2011年肩の運動機能研究会にてCine-MRI(以下,FIESTA法)の腱板機能評価としての有効性を報告した.今回FIESTA法にて腱板機能評価中に,肩甲下筋の収縮不全が疑われた一症例について報告する. 【症例紹介】 性別:男性.年齢:32歳身長:165㎝体重:61kgBMI:22.4運動歴:沖縄県の伝統舞踊エイサー太鼓.8年間.週1〜2回,練習時間3時間一回の演舞は20分間連続して行う. 【理学評価】 ROM(IR).RtTh6.LtTh3.(ER)Rt45°Lt60°(IR2)Rt55°Lt70°(IR3)Rt30°Lt45°整形外科テスト(Lift off test)Rt+Lt−(Belly press test) Rt+Lt−(Alignment)肩関節前方挙上90°位carring angle:Rt30°Lt15°. 【画像評価】 MRIはSigna1.5T(GE社製)を使用. 撮像はFast Imaging Employing Steady state Acquisition(FIESTA法)にて実施.撮像高位は肩甲下筋小結節付着部近位1/2の軸位画像とした. 動作中の肩甲下筋(以下,SSC)の弛緩時と収縮時の断面積をOsiriXを用いて計測し3つの動作における形態学的変化について検討した. Belly press test:(SSC)Rt弛緩時26.611 cm2収縮時26.553 cm2 Lt弛緩時21.725cm2収縮時17.408 cm2 .Rtは収縮時と弛緩時に差が無かった. Ltは収縮が強かった. 肩関節内旋外旋動作(自動)では,最大内旋位(SSC)Rt30.684cm2最大外旋位(SSC)30.617cm2.Lt最大内旋位(SSC)Rt19.936cm2最大外旋位(SSC)24.504cm2.Rtは最大内旋位と最大外旋位に差が無かった.Ltは最大内旋位の収縮が強かった. 肩関節内旋動作時にYellow TUBING(Thera-Band社製)を用いて内旋動作,張力:0.55kg(伸長率100%) (SSC)Rt弛緩時29.755cm2収縮時29.274cm2 Lt弛緩時22.136cm2収縮時16.151cm2. Rtは収縮時と弛緩時に差が無かった. Ltは収縮が強かった. 【説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に基づき,研究の目的,方法を十分に説明し同意を得て行った. 【考察】 Lift-off test,Belly press test等の理学所見は代償運動の見分けが困難である.藤澤らは,エコーガイド下による針筋電図の施行は解剖学的位置関係から,技術的に筋電図学的検討が難しいと報告している.見目らはFIESTA法による筋断面積の評価では,腱板の断面積は遠心性収縮よりも求心性収縮が有意に小さいと報告している.本症例のSSC断面積は,3動作において右肩甲下筋求心性収縮時に断面積の変化が乏しいことから機能不全が示唆された.FIESTA法では,肩甲下筋の機能不全が肉眼的に評価可能であった.エイサー太鼓を叩く動作の様な力を込めた反復性の内旋動作が肩甲下筋の機能不全に繋がった可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
DOI: | 10.14901/ptkanbloc.31.0_20 |