当透析センターにおける要介護透析患者家族の介護負担度

<緒言>透析患者の高齢化が著しい。透析治療は、一生涯継続する必要があるため、要介護者の場合家族の援助、介護では、極めて困難と言える。まして、家族の負担度は、送迎や食事制限などがあり他の要介護者に比べて、負担は大きい。今回、外来通院を続け安定した透析生活を維持して行く為に、家族介護の不安や負担を知るため、Zarit介護負担尺度を用いて調査を試みた。その結果から家族を支援するための課題について検討した。 <方法>対象は当透析センター外来患者で自力の通院が不可能な患者を介護している家族。Zarit介護負担尺度に独自の項目を加えた質問用紙にて調査。介護負担感尺度を様々な要因につ...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 390
Main Authors 板井, きみ, 菊地, 誠, 佐久間, 初枝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.390.0

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Summary:<緒言>透析患者の高齢化が著しい。透析治療は、一生涯継続する必要があるため、要介護者の場合家族の援助、介護では、極めて困難と言える。まして、家族の負担度は、送迎や食事制限などがあり他の要介護者に比べて、負担は大きい。今回、外来通院を続け安定した透析生活を維持して行く為に、家族介護の不安や負担を知るため、Zarit介護負担尺度を用いて調査を試みた。その結果から家族を支援するための課題について検討した。 <方法>対象は当透析センター外来患者で自力の通院が不可能な患者を介護している家族。Zarit介護負担尺度に独自の項目を加えた質問用紙にて調査。介護負担感尺度を様々な要因について分類し要介護者の重要度、主介護者の属性、介護の状況他について検討した。倫理的配慮として患者及び家族には調査の趣旨を説明し同意を得た。 <結果>今回の調査では、最高得点53点、最低得点9点、平均23.8点となった。対象患者は男性9名、女性3名。原疾患は糖尿病性腎症7人、腎硬化症3人、多発性骨髄腫、慢性糸球体腎炎が各1名であった。平均年齢は72.3歳、介護者は患者の夫(65歳)、息子(45歳)の男性2名。患者の妻8名(平均年齢63.4歳)と娘2人(47歳、46歳)の計12名であった。介護負担尺度は最高得点50点、最低得点9点、平均21,3点であった。日常生活自立度別では、A2までの負担度に差がみられなかった。要介護度区別別では、要介護_I_の負担度は他に比べて低かった。介護者別では、妻の負担度は様々であるが娘は低い値であった。息子は高い値を示した。透析歴別では、差はなくばらつきがあった。介護サービスの利用種類別では、通所サービスの利用が利用よりも低い値となったが短期入所の利用者は高い値となった。認知度別はばらつきがあり、差はなかった。要介護者の介護者は圧倒的に主婦が多く調理に関する負担が伺われたが、家族の負担度は低かった。 <考察>介護者別で妻、夫は高値を示したが仕方がない、逆に患者の将来を心配と思う人が多かった。利用状況別では短期入所の利用により家族の負担が減り得点も利用してない群よりは低いと思われたが、実際には高い値であった。これは、要介護度が関係したと思われた。透析高齢者介護の場合、一般的な介護の他に永続的治療のために週2から3回の通院の介助が第一の負担となっていた。そして食事や水分管理が必要であるため介護者の肉体的精神的な負担が大きい。透析導入直後はその家族の不安は大きいが、ある程度透析治療が経過し治療が欠かせないことを家族が理解できるとその負担度はわずかであるが軽減していた。同居の家族であり、長期に家庭を守ってきた高齢者を介護する家族の援助は大きく妻、嫁、息子など家族間のつながりも強く感じた。出来る限り在宅生活を続けることを要介護者及び家族支援の目標として援助しなければならない。そのためには、送迎時間の配慮、透析治療における必要情報の提供を適宜に図り、家族とコンタクトを持つ機会を作り安全に透析が受けられるよう常に心掛けていかなければならない。また、介護者の悩みを聞きその苦労をねぎらい精神的ストレスを作らないよう家族ケアへの配慮も忘れてはならない。
Bibliography:2G611
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.390.0