当院看護師における手あれ実態調査

<はじめに>外科病棟では、術後易感染状態にある患者のケアにあたることも多く、感染防止の面から頻回に手洗いを行う。そのため、絶えず手あれが生じており、処置の際、苦痛を伴うことも多い。しかし感染防止のため、手洗い回数を減らすことはできない。白石らの研究では、「手洗い回数と手あれには相関が認められた」という結果が出ており、当院においても手洗いと手あれには関係があるのではないかと考え、手あれ実態調査をした。 <研究目的> 1.当院の看護師における手あれの有無と手あれの状態を明らかにする。 2.手あれと手洗いとの関係を知る。 <研究方法<>対象看護師164名に質問紙にて調査し、記述統計にて比較した...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 369
Main Authors 小倉, みゆき, 矢島, 広美, 中嶋, 一二三, 加納, 一二三, 大塚, 奈央, 牧野, 神奈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.369.0

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Summary:<はじめに>外科病棟では、術後易感染状態にある患者のケアにあたることも多く、感染防止の面から頻回に手洗いを行う。そのため、絶えず手あれが生じており、処置の際、苦痛を伴うことも多い。しかし感染防止のため、手洗い回数を減らすことはできない。白石らの研究では、「手洗い回数と手あれには相関が認められた」という結果が出ており、当院においても手洗いと手あれには関係があるのではないかと考え、手あれ実態調査をした。 <研究目的> 1.当院の看護師における手あれの有無と手あれの状態を明らかにする。 2.手あれと手洗いとの関係を知る。 <研究方法<>対象看護師164名に質問紙にて調査し、記述統計にて比較した。 <結果および考察>白石らの研究において、手洗い回数の増加に伴い手あれは生じやすくなると報告されている。アンケート結果より、手あれが約65%の対象にみられた。当院では液体石けんによる手洗い回数は、平均16回以上、速乾性擦式手指消毒薬による手洗い回数は、平均11回以上が最も多い回数だが、手あれのある対象のうち、液体石けんによる手洗い回数が16回以上と回答した対象は42%、また速乾性擦式手指消毒薬による手洗いでは11回以上と回答した対象は22%と半数を下回り、この結果から手洗い回数が必ずしも手あれに影響しているとはいいきれないことがわかった。手あれによる苦痛は、87%の対象があると回答しており、苦痛の理由として速乾性擦式手指消毒薬がしみる、消毒するときに痛いなどがあげられており、これらより、手洗い回数が減ってしまう可能性がある。「手あれの部位には正常な部位に比べて、ブトウ球菌などの細菌が付着、増加する。」といわれており、手あれの範囲が広がるにつれ、感染のリスクも高くなると考えられる。手あれ防止策としていくつかの文献に、ハンドクリームなどの保湿剤の使用が推奨されている。「手洗いによる『手あれ』の機序は、手洗いに用いる石けんや消毒薬入り石けんによる角質層の皮脂膜の喪失、また速乾性擦式手指消毒薬による皮膚の乾燥と刺激から始まります」といわれている。当院でも手あれの症状において、乾燥と回答した看護師が最も多くあげられており、保湿剤の使用を推奨していく必要がある。保湿剤使用の有無において、86%の対象が使用していると回答した。保湿剤を使用している看護師が多いのにもかかわらず手あれが多いには、保湿剤を使用しても、頻回な手洗いによりすぐに効果がなくなってしまうことや、忙しい業務の中、手洗の度に保湿剤を塗り直すことが難しいためと考える。  藤江らの研究では、業務中に使用する時間を決めた計画的な保湿剤の使用と、保湿剤塗布の呼びかけなどの啓蒙活動により手あれの改善がみられ、それに伴い、手洗い、手指消毒剤の回数の増加が認められている。当院では手あれ防止策は個人に任されているが、今後は組織的な防止策の検討が必要である。 <おわりに> 今回は手あれのない対象の調査を行っていないため、手あれの関連要因について手あれのある対象との比較が行えなかった。個人の保湿剤の使用方法、回数なども含め今後さらなる調査を行い、手あれ防止策の検討が必要である。
Bibliography:2G504
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.369.0