全入院患者の栄養管理を実施して

<諸語>当院では2002年からNST(栄養サポートチーム)準備委員会を立ち上げ、2003年からNSTが正式に稼動している。しかし、入院時栄養スクリーニングの体制が整わないこと、主治医からのコンサルテーション型をとっていること、消化器外科病棟が中心となっており、栄養管理の重要性が全病院にはなかなか広がらないのが現状であった。私たちが昨年おこなった入院患者の調査によると低栄養状態の患者が約50%いることがわかったが、NSTが介入し栄養管理を行っている患者はごく一部に過ぎなかった。  2004年看護部スキンケア委員とNST委員が一つに合併し各病棟で栄養管理の中心となるべき看護師が配置されたため、20...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 103
Main Authors 清水, 美保, 結城, 敬, 柳沢, 素子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
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Summary:<諸語>当院では2002年からNST(栄養サポートチーム)準備委員会を立ち上げ、2003年からNSTが正式に稼動している。しかし、入院時栄養スクリーニングの体制が整わないこと、主治医からのコンサルテーション型をとっていること、消化器外科病棟が中心となっており、栄養管理の重要性が全病院にはなかなか広がらないのが現状であった。私たちが昨年おこなった入院患者の調査によると低栄養状態の患者が約50%いることがわかったが、NSTが介入し栄養管理を行っている患者はごく一部に過ぎなかった。  2004年看護部スキンケア委員とNST委員が一つに合併し各病棟で栄養管理の中心となるべき看護師が配置されたため、2005年10月から16病棟中4病棟で、入院時栄養スクリーニングおよびアセスメントが開始された。  そして今年4月、診療報酬改定の栄養管理実施加算をきっかけとしてではあるが、全病棟において栄養スクリーニングが行われることになった。  まだまだ始まって間もないが、看護師による栄養スクリーニングを受けての管理栄養士の栄養管理に対する関わり方と業務の変化、問題点と今後の課題を報告する。  4月からの入院患者に対しての栄養スクリーニング実施率は74.4%だった。看護師によるスクリーニングで問題がないと評価された患者でも、管理栄養士が再度チェックを入れている。検査値などを合わせて見ると問題がある場合もあり、それらの患者に対しては栄養ケアプランを立て、定期的にモニタリングし最終的評価をする。個々の患者の栄養に関する問題点が明確になり、NSTやスキンケアチームで関わる患者や、従来の栄養指導、嗜好調査で関わる患者に加え、何らかの栄養障害があり関わる患者も多くなった。また、一度問題ないと評価しても、手術・化学療法・高齢者など、入院中に栄養不良となり得るリスクを持った人に関しては、再アセスメントを行う必要がある。  以前は病院全体で入院時栄養スクリーニングを行うことが目標だったが、それだけでは意味が無く、その後の個々人に適した栄養量や栄養補給法(従来の経口栄養法に加え・経腸、経静脈栄養といった非経口栄養補給法の双方から)を決定、実施し、再評価するという一貫した栄養管理を行うことに栄養管理実施加算の意味があり、実施していく上で中心となるのはやはり、管理栄養士でなければならない。 <今後の課題>今回の診療報酬改定までにはわずかな時間しかなかったが、NSTの活動があったことにより、スムーズに全入院患者の栄養スクリーニング導入はできた。しかし、看護師によるスクリーニングが機械的にならないような働きかけと、自分自身のスキルアップに努めながら、スクリーニングを無駄にしない管理栄養士による質の高い継続した栄養管理ができる体制作りと有効性を評価していくことが必要である。  入院中に栄養不良となる患者(Hospital Malnutrition)も多い。そのような患者を出さないためにも、先に述べたようなリスクを持った患者、スクリーニングで問題があると判定した患者に対しては、落ちのないようにfollowしていく体制を作ることが今後の課題である。  1日の入院患者数も多く、管理栄養士1人が栄養管理を行う患者は70名と多いため、摂取量の把握、栄養量の算出、記録方法についてより効率的に実施できる体制を整えていきたい。
Bibliography:1F05
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.103.0