当院における摂食・嚥下リハビリテーションの現状と回復度分析

【目的】当院は愛知県田原市にある人口約6万7千人を医療圏域とし,316床を有する渥美半島唯一の総合病院である。昨今の高齢化率の上昇などにより,当院での摂食・嚥下リハビリテーション(以下リハ)の依頼件数が増加している。そこで当院におけるリハの現状と回復度について検討した。【対象と方法】2008年4月~2010年3月までにSTがリハを行った入院患者174名(平均年齢80.5歳,男性92名,女性82名)を後方視的に調査した。重症度判定には,才藤ら(1999)による摂食・嚥下障害の臨床病態重症度(Dysphagia Severity Scale,以下DSS)を用いた。回復度は,リハ開始時と終了時のDS...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 367
Main Authors 近藤, 俊貴, 鈴木, 康友, 中村, 訓之, 石垣, 由香, 沖, 公平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.367.0

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Summary:【目的】当院は愛知県田原市にある人口約6万7千人を医療圏域とし,316床を有する渥美半島唯一の総合病院である。昨今の高齢化率の上昇などにより,当院での摂食・嚥下リハビリテーション(以下リハ)の依頼件数が増加している。そこで当院におけるリハの現状と回復度について検討した。【対象と方法】2008年4月~2010年3月までにSTがリハを行った入院患者174名(平均年齢80.5歳,男性92名,女性82名)を後方視的に調査した。重症度判定には,才藤ら(1999)による摂食・嚥下障害の臨床病態重症度(Dysphagia Severity Scale,以下DSS)を用いた。回復度は,リハ開始時と終了時のDSSを測定し,終了時から開始時を引いた値と定めた。【結果】平均リハ期間は47.8日,入院からリハ開始までの期間は17.5日であった。疾患別構成は脳梗塞55.6%,廃用症候群12.1%,脳出血6.3%,SAH3.4%,脳幹梗塞2.9%,パーキンソン病2.9%,その他(n≦5の疾患)19.5%であった。転帰別は,自宅52.6%,死亡22%,老健9.8%,転院(療養型)8.1%,特養5.2%,転院(回復期)0.6%,その他1.7%であった。自宅退院のうち,終了時誤嚥ありレベルは64.8%(59 / 91人)であった。リハ開始時に誤嚥あり群は100%,終了時に誤嚥あり群は73%に減少していた。開始時絶食群は29.3%,終了時は14.3%と減少していた。回復度は改善あり64.4%,変化33.9%,悪化1.7%であった。対象者の回復度平均は1.29でt検定の結果,有意な回復が認められた(p<0.01)。【考察】リハ終了時にDSS値の向上,誤嚥患者の減少,経口摂取患者の増加が認められ,リハ効果が示唆された。リハ依頼患者全てが誤嚥ありレベルの患者であり,誤嚥レベルの患者のニーズを掘り起こし,介入していく必要性があると考えられた。田原市内に回復期リハ病院がないことから,誤嚥ありレベルにおいても自宅退院せざるを得ない患者も多い。従って当院のリハの質向上や退院時指導の徹底,地域でのリハ継続の体制を構築することが今後の課題と考えられた。
Bibliography:P2-D1-5
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.367.0