当院におけるCoronary-CTの位置

<緒言>近年各施設でMSCTの導入が相次ぎ、諸学会で有用性に関する講演を数多く耳にする。また医療技術の目覚しい進化に伴いここ数年に、4列から64列といった多列化が進み、現在は治験段階ではあるが128列の市場投入も近い。今回、核医学設備のない当院において心臓冠動脈検査が安定して行える64列MSCTが導入され、半年を経過したので、当院におけるMSCTの臨床的診断の位置、特に循環器領域において検討した。 <使用装置・諸条件>  使用装置:東芝Aquilion 64列System        根元杏林堂デュアルショット  WarkStation:アミンZioStation  造影剤:350_から_3...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 288
Main Authors 稲葉, 光昭, 佐々木, 隆昭, 服部, 晃, 石井, 真, 海津, 元樹, 鈴木, 啓介, 種田, 宏司, 八藤後, 拓哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.288.0

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Summary:<緒言>近年各施設でMSCTの導入が相次ぎ、諸学会で有用性に関する講演を数多く耳にする。また医療技術の目覚しい進化に伴いここ数年に、4列から64列といった多列化が進み、現在は治験段階ではあるが128列の市場投入も近い。今回、核医学設備のない当院において心臓冠動脈検査が安定して行える64列MSCTが導入され、半年を経過したので、当院におけるMSCTの臨床的診断の位置、特に循環器領域において検討した。 <使用装置・諸条件>  使用装置:東芝Aquilion 64列System        根元杏林堂デュアルショット  WarkStation:アミンZioStation  造影剤:350_から_370mgI/ml非イオン性製剤    60ml→4.0ml/sec    (Flash:生食 30ml)  撮影条件:120kV 400mA 0.4sec/rot 0.5mm×64 HP=11.2  再構成法:TCOT segment <方法>心臓CTと心臓血管撮影の結果を、視覚的および計測値をそれぞれ抽出しretrospectiveに比較検討する。ま心臓-CTにより得られた4D-Volume Dataを用いて、専用解析ソフトを使用し心機能評価を行いそのデータと心臓超音波とを比較する。 <結果>心臓CTおよび心臓血管撮影の画像より算出した結果から導いた考察を示す。冠動脈に視点をおいた時の視覚的評価(Volume Renderingと透視画像)においては、幾分CTが動的および生体的Artifactが抽出され、数例偽狭窄を形成していた。さらにCurved Planer reformationによる血管断面の形状と狭窄率の比較では主観的に相関が得られていると思われるが、時間分解能と空間分解能の面から見ると冠動脈造影に劣ることはいうまでもない。また算出したNPV・PPVでは、上記の原因を反映しNPVが低い数値を示していた。心臓超音波との比較では、EF・SV・壁厚・LVVなどの各測定値の比較では、近似値を示していた。 <考察>当施設においても、堂領らの報告や他の論文により報告されたものと同程度の結果が得られたため、当院での循環器領域のMSCTの有用性が立証された。また心臓超音波との比較においては、超音波よりCTは撮影技術者の技量に左右されにくく、検査の再現性に優れていると考えられた。今後CTの利便性と4D-Volume Dataを最大限活用するために、心室中隔欠損症などの先天性心疾患や心筋症・心臓弁膜症などへ適応すべく撮影技術の検討を進めている。さらに最近のトピックスとして上がっている心筋Viabilityの評価についても遅延造影MRIと遅延造影CTと相関が見られると示唆する報告があり、以後の報告に期待がもたれる。しかし、CTでは造影剤の副作用や注入時の血管漏出の危険性が秘めていることを周知し、緊急時の対応策や環境設備・STAFFの教育などを念頭に置かなければならない。さらには撮影後の画像処理に費やす時間と経費も同時に考慮しなければならないと考える。以上より当院では現在既存する設備や装置を考慮し、さらに離島診療を担う基幹病院として虚血性心疾患および心臓バイパス術後の経過観察における第一選択としてMultiSlice-CTによる心臓CTを用いることを目標としている。
Bibliography:2F09
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.288.0