生体弁置換術後3年半で弁機能不全をきたした1例

症例: 82歳, 男性. 大動脈弁狭窄症に対し, 大動脈弁置換術を施行した(Carpentier-Edwards perimount; CEP弁23mm使用). 術後3年目より下腿浮腫を中心とした心不全症状が出現. 心エコーにて左室駆出率81%, 大動脈弁逆流1~2度, 大動脈弁口面積0.6cm2, 大動脈弁口血流速度5.0m/秒で, 弁尖の動きは極めて不良であった. 心カテーテル検査では, 平均肺動脈喫入圧18mmHg, 収縮期肺動脈圧40mmHg. 冠動脈に有意狭窄を認めなかった. SVD(structural valve deterioration)に伴う大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症と診断さ...

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Published in心臓 Vol. 43; no. 7; pp. 904 - 908
Main Authors 安, 健太, 五十嵐, 仁, 楠原, 隆義, 中塚, 大介, 廣瀬, 圭一, 岩倉, 篤, 山中, 一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
日本心臓財団
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Summary:症例: 82歳, 男性. 大動脈弁狭窄症に対し, 大動脈弁置換術を施行した(Carpentier-Edwards perimount; CEP弁23mm使用). 術後3年目より下腿浮腫を中心とした心不全症状が出現. 心エコーにて左室駆出率81%, 大動脈弁逆流1~2度, 大動脈弁口面積0.6cm2, 大動脈弁口血流速度5.0m/秒で, 弁尖の動きは極めて不良であった. 心カテーテル検査では, 平均肺動脈喫入圧18mmHg, 収縮期肺動脈圧40mmHg. 冠動脈に有意狭窄を認めなかった. SVD(structural valve deterioration)に伴う大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症と診断され, 初回手術から41カ月で再手術となった. 切除された弁尖は黄褐色に染まり, 硬化していた. 石灰化はみられなかった. CEP magna生体弁21mmによる再弁置換術を行った. 術後1日目に抜管, 術後2日目にICU退室となった. その後も経過良好で, 心エコー上弁の動きが良好であるため, 軽快退院となった. 病理学的精査の結果, SVDの原因は弁尖の変質による硬化であったが石灰化は関与していなかった. 考察·結語: CEP弁をはじめとする生体弁の寿命は一般的に10~15年程度で石灰化が主な原因と考えられているが, 非石灰化要因により短期間にSVDに陥った症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.904