地域医療と地域基盤型教育:その課題と新たな展開 医学・医療教育と地域との関係性を考える

地域医療とは,一つの定義として「地域に生活し,住民が抱える様々な健康上の不安な悩みをしっかりと受け止め,適切に対応するとともに,広く住民の生活にも気を配り,安心して楽しく暮らすことができるよう,見守り,支える活動」とされている.それを踏まえて,地域医療“学”をシンプルに定義すれば,「医療従事者に必要な社会科」で,「地域医療をするために必要な人文・社会科学」である.近い将来には,医療の風景が様変わりして,地域包括ケアの総合的充実が求められるようになる.地域は医療が介入するべき対象である.他方,地域を基盤とした医学教育のさまざまなエビデンスが報告されるようになり,その活用が世界の主流になっている....

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Published in岩手医学雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 99 - 107
Main Author 伊藤, 智範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 岩手医学会 01.08.2021
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ISSN0021-3284
2434-0855
DOI10.24750/iwateishi.73.3_99

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Summary:地域医療とは,一つの定義として「地域に生活し,住民が抱える様々な健康上の不安な悩みをしっかりと受け止め,適切に対応するとともに,広く住民の生活にも気を配り,安心して楽しく暮らすことができるよう,見守り,支える活動」とされている.それを踏まえて,地域医療“学”をシンプルに定義すれば,「医療従事者に必要な社会科」で,「地域医療をするために必要な人文・社会科学」である.近い将来には,医療の風景が様変わりして,地域包括ケアの総合的充実が求められるようになる.地域は医療が介入するべき対象である.他方,地域を基盤とした医学教育のさまざまなエビデンスが報告されるようになり,その活用が世界の主流になっている.地域は,大学病院だけでは獲得できない,地域包括ケアへも対応可能な幅広い診療能力を涵養しうるフィールドで,医学・医療教育の貴重な財産でもある.本稿では,この地域医療と地域基盤型教育について概説する.
ISSN:0021-3284
2434-0855
DOI:10.24750/iwateishi.73.3_99