スピルキットを配置した抗がん剤汚染処理に対する安全対策の現状
【要旨】輸液ポンプのメンテナンスで薬剤の付着を見受けるが、なかには細胞毒性を呈する抗がん剤である可能性がある。「抗がん剤取り扱いに関するガイドライン」では、アルコール清掃は溶解した薬剤を吸入する危険性があり禁忌としている。このことは通常アルコール清掃をする機器を扱うすべての医療者が、日々危険にさらされていることが示唆できる。 当院では昨年より抗がん剤被曝が医療従事者や臨床環境に起きた場合、早急に対処できるよう1.抗がん剤の無毒化剤・専用手袋や防護用具を備えたスピルキット作成、2.病棟・薬剤部・臨床工学部に安全対策マニュアル設置という二つの対策を施し業務している。その後数件、スピルキットを使用し...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 421 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.59.0.421.0 |
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Summary: | 【要旨】輸液ポンプのメンテナンスで薬剤の付着を見受けるが、なかには細胞毒性を呈する抗がん剤である可能性がある。「抗がん剤取り扱いに関するガイドライン」では、アルコール清掃は溶解した薬剤を吸入する危険性があり禁忌としている。このことは通常アルコール清掃をする機器を扱うすべての医療者が、日々危険にさらされていることが示唆できる。 当院では昨年より抗がん剤被曝が医療従事者や臨床環境に起きた場合、早急に対処できるよう1.抗がん剤の無毒化剤・専用手袋や防護用具を備えたスピルキット作成、2.病棟・薬剤部・臨床工学部に安全対策マニュアル設置という二つの対策を施し業務している。その後数件、スピルキットを使用し抗がん剤の被曝を処理したとの報告があった。 そこで、さらなる安全対策の一環として「スピルキットが有用なのか」「抗がん剤被曝に対するスタッフの意識が改善したのか」について対策を講じた前後で、化学療法を行う外来・病棟の看護師226名を対象に質問紙調査法を用いて意識調査を行った。 対策の浸透度は83.1%と高値であったのに対し、アルコール清掃の現状は前後の群間で7%上昇した。 このことは危険であることは知っているが、実行されていない現状が呈され、同時に対策を浸透させることの難しさが明らかになった。いかに浸透させるかということに対し今後の啓発だけではなく、介入の方法も再度見直しが必要であることが確認された。 |
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Bibliography: | P2-F2-5 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.59.0.421.0 |