大腿骨近位部不顕性骨折を疑った際は、両股関節MRI T1 強調冠状断像による骨折確認が最優先される

【目的】大腿骨近位部不顕性骨折を疑った際、ガイドラインではMRIが推奨されている。しかし早期の診断と治療方針決定が望まれる場面が多い一方、MRI検査が混雑を極めスムーズな依頼が難しいことも多い。そうした状況下で撮影シークエンスに優先順位をつけ効率化を図ることは重要である。今回、いずれのシークエンスが骨折描出能に優れているか調査した。【方法】2003年1月~2010年6月の間に股関節痛を主訴に、大腿骨頚部・転子部骨折にて疑いも含めて入院となった684例を対象とした。そのうち大腿骨近位部不顕性骨折を疑ったものの単純X線写真にて明らかな骨折線を認めず1.0T MRIによる撮像を行っていた62例に対し...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 60; p. 210
Main Authors 岩田, 崇裕, 酒井, 浩志, 大橋, 稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2011
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.60.0.210.0

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Summary:【目的】大腿骨近位部不顕性骨折を疑った際、ガイドラインではMRIが推奨されている。しかし早期の診断と治療方針決定が望まれる場面が多い一方、MRI検査が混雑を極めスムーズな依頼が難しいことも多い。そうした状況下で撮影シークエンスに優先順位をつけ効率化を図ることは重要である。今回、いずれのシークエンスが骨折描出能に優れているか調査した。【方法】2003年1月~2010年6月の間に股関節痛を主訴に、大腿骨頚部・転子部骨折にて疑いも含めて入院となった684例を対象とした。そのうち大腿骨近位部不顕性骨折を疑ったものの単純X線写真にて明らかな骨折線を認めず1.0T MRIによる撮像を行っていた62例に対し、年齢・骨折型・MRI冠状断におけるT1強調像、T2強調像、STIR像での骨折描出能(感度)につき調査した。MRI骨折判定は病名を伏せて行った。【結果】62例中54例が大腿骨近位部不顕性骨折であった。平均年齢は79.9歳、男性15例、女性39例であった。両股T1強調冠状断像のみを利用した骨折判定では54例全例で骨折ありと判定された(感度100%)。一方、T2強調冠状断像のみの判定では骨折線の判定困難な症例が7例みられた(感度86.5%)。STIR像のみの判定では全7例で骨折ありと判定できたが1例で髄内浮腫は認めるものの骨折線の描出は不明瞭であった。【考察・結論】不顕性骨折においてCTの骨折線描出力は低く、骨シンチグラムは陽性所見を呈するまで72時間を要することからMRIが推奨されているが、今回の調査により両股T1強調冠状断像が最優先されることが分かった。また冠状断像は健側と比較できることも利点である。転倒後の股関節痛、荷重困難、他動回旋時痛、大転子部叩打痛といった所見を見逃すことなくMRI撮像シークエンスの優先順位を把握することで、早期診断と合理的な検査体系が可能になると思われた。
Bibliography:2D-2
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.60.0.210.0