表在性膀胱癌におけるBCG膀胱内注入療法の有効性は投与量、観察期間、年齢、前治療の有無に影響する

緒言:表在性膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法は経尿道的膀胱腫瘍切除術後再発予防、膀胱上皮内癌に対しての治療として最も有効であり、確立されたものである。しかしながら、副作用も強く、近年、低容量での使用例が多くなりつつある。今回われわれはBCG膀胱内注入療法の臨床的検討を、長期間経過観察が可能であった症例について、投与量、観察期間、年齢、前治療の影響を中心に解析した。方法:1985年2月から2006年12月までに安城更生病院・加茂病院などでBCG膀胱内注入療法( Tokyo 172株)を行った表在性膀胱癌患者のうち、1年以上経過観察が可能であった合計254人を対象とした。組織型は全て移行上皮癌で...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 217
Main Authors 岩瀬, 豊, 濱本, 周造, 岡村, 武彦, 加藤, 利基, 神澤, 英幸, 最上, 徹, 秋田, 英俊, 内木, 拓, 井村, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.217.0

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Summary:緒言:表在性膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法は経尿道的膀胱腫瘍切除術後再発予防、膀胱上皮内癌に対しての治療として最も有効であり、確立されたものである。しかしながら、副作用も強く、近年、低容量での使用例が多くなりつつある。今回われわれはBCG膀胱内注入療法の臨床的検討を、長期間経過観察が可能であった症例について、投与量、観察期間、年齢、前治療の影響を中心に解析した。方法:1985年2月から2006年12月までに安城更生病院・加茂病院などでBCG膀胱内注入療法( Tokyo 172株)を行った表在性膀胱癌患者のうち、1年以上経過観察が可能であった合計254人を対象とした。組織型は全て移行上皮癌であり、異型度は、G1:G2:G3=54:144:51、深達度はCIS: Tis:Ta:T1=12:13:120:105。BCG投与量は40mg:60mg:80mg =50:31:173であり、原則として週1回6~8回の膀胱内注入を行い、副作用の程度により適時投与間隔を延長した。症例によってはさらに追加治療として6~8回、月1回の維持療法を行った。これらの症例について以下の項目について解析を行った。年齢分布、平均年齢、男女比、観察期間の分布、平均観察期間、悪性度、進達度、単発・多発、初発・再発、3年非再発率、5年非再発率、10年非再発率、非再発曲線 、副作用発現率。結果:投与量別の3年、5年、10年非再発率を表に示す。BCG膀胱内注入療法の有効率は、長期間経過観察例において用量に比例して有意に高かった(P=0.0001)。低年齢症例、BCG膀胱内注入療法前に治療の行われていなかった症例において、長期間経過観察で高い有効率を示したが、有意差は認めなかった(年齢:P=0.0607、前治療の有無:P=0.2261)。また、男女差、悪性度、進達度、単発・多発、初発・再発、副作用発現率などについても有意な差を認めなかった。結論:今回の我々の研究においては、表在性膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法は初期治療として80mgの投与量が選択された場合に、より有効であることが示唆された。さらに、年齢的な要因と、以前に治療暦のないことが比較的重要な要因であることが示唆された。
Bibliography:2C17
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.217.0