細胞シート工学を用いた再生医療

本総説では,再生医療,すなわち培養細胞を用いた治療の進歩と発展を示す.我々は同時に,温度応答性培養皿の開発にも取り組んできた.この培養表面には,温度応答性高分子であるN-イソプロピルアクリルアミドが共有結合的に固定されており,温度を32℃以下に下げるだけで,タンパク質分解酵素を必要とすることなく,培養細胞が連結した一枚の細胞シートとして回収することができる.この細胞シートの底面には培養の間に細胞自身が沈着させた細胞外マトリックスが保持されており,細胞シートの患部への移植の際に糊として働く.さまざまな領域の中でも,特に,我々が臨床応用に成功した細胞シートを用いた再生医療に焦点をあてて議論したい....

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Published inOrgan Biology Vol. 24; no. 2; pp. 193 - 199
Main Author 大和, 雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臓器保存生物医学会 2017
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Summary:本総説では,再生医療,すなわち培養細胞を用いた治療の進歩と発展を示す.我々は同時に,温度応答性培養皿の開発にも取り組んできた.この培養表面には,温度応答性高分子であるN-イソプロピルアクリルアミドが共有結合的に固定されており,温度を32℃以下に下げるだけで,タンパク質分解酵素を必要とすることなく,培養細胞が連結した一枚の細胞シートとして回収することができる.この細胞シートの底面には培養の間に細胞自身が沈着させた細胞外マトリックスが保持されており,細胞シートの患部への移植の際に糊として働く.さまざまな領域の中でも,特に,我々が臨床応用に成功した細胞シートを用いた再生医療に焦点をあてて議論したい.
ISSN:1340-5152
2188-0204
DOI:10.11378/organbio.24.193