人工呼吸器テスターを利用した在宅人工呼吸器への応用

<はじめに>当院では、在宅人工呼吸器を利用した患者様宅に医師、看護師が訪問し在宅医療を行っている。臨床工学技士も2週に一度同行し、人工呼吸器の点検等を行っている。その人工呼吸器は、レンタルで使用し5000時間(約半年)でオーバーホールのために交換となる。この交換時に、同機種・同設定で点検後交換した後、患者様から「何かへんだ」等、再度点検依頼がくることがあった。そこで、人工呼吸器の違いを見出すためラングシュミレーターを使用し、人工呼吸器テスター(タイコ社PTS2000)を利用して比較検討したので報告する。 <方法>患者様使用の人工呼吸器タイコ社アチーバPSをラングシュミレ...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 109
Main Authors 室橋, 高男, 完戸, 陽介, 森久保, 忍, 高橋, 大樹, 橋本, 佳苗, 石川, 俊行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.109.0

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Summary:<はじめに>当院では、在宅人工呼吸器を利用した患者様宅に医師、看護師が訪問し在宅医療を行っている。臨床工学技士も2週に一度同行し、人工呼吸器の点検等を行っている。その人工呼吸器は、レンタルで使用し5000時間(約半年)でオーバーホールのために交換となる。この交換時に、同機種・同設定で点検後交換した後、患者様から「何かへんだ」等、再度点検依頼がくることがあった。そこで、人工呼吸器の違いを見出すためラングシュミレーターを使用し、人工呼吸器テスター(タイコ社PTS2000)を利用して比較検討したので報告する。 <方法>患者様使用の人工呼吸器タイコ社アチーバPSをラングシュミレーターに接続、同設定条件で同気道内圧・換気量になるよう調整後、人工呼吸器を交換しPTS2000により、V(ボリューム)、F(フロー)、P(プレッシャー)の波形を出力した。それを利用し実験1.現在使用中のものと、交換予定のものの出力波形を比較、その後同じ波形が得られる設定条件を探し出した。実験2.まったく違う機種(タイコ社アチーバPSと同社ベネット7200ae)に同設定を入力した時の出力波形を比較、同じ波形を得るために必要となった設定条件の確認を行った。 <結果>実験1.交換前と交換予定の装置で同じ波形を得るための設定値を表1に示す。患者様に使用してもらった結果、「交換予定」に示した値が、患者様からも「一番近い」という返事を頂いた。実験2.機種の違う同設定の出力波形を比較した後、設定変更を行なった結果を表2に示す。 <考察>実験1.より、機種や型が同じで、同規格のオーバーホールを実施しても、フローセンサー等それぞれに許容値というバラツキがあり、同じにはならずに長期に使用している患者様は、違和感によるストレスを受けることが経験上理解できた。実験2.に関しては、在宅移行時の人工呼吸器の機種変更も考慮し機種間による比較を行った結果、同じ設定でもV、F、Pの波形が全く違い、患者側の感覚が全く違うことが予想できた。しかし、吸気パターン・流速に変更を加えることで、より近い波形を見つけ出すことができた。今まで患者様に「何かへんだ」と言われても「血ガスも特に問題なく同じ設定だから大丈夫。あとは慣れるしかない」という考えも持っていた。しかし、今回の結果によって人間の感覚の鋭さと患者様の存在について改めて考えさせられた結果となった。 <まとめ>機種変更時や呼吸器交換時の患者様の苦痛を軽減するために人工呼吸器テスターを利用し、換気量を保ちながら人工呼吸器の交換前後の出力波形を近似させる方法は、長期で使用する際の違和感・苦痛等のストレスを減らす方法として有用である。
Bibliography:1F11
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.109.0