乳癌術後患者のQOL評価に基づいた今後の作業療法
〈はじめに〉当院では、乳癌患者の作業療法(以下OT)を術後翌日から開始しているが、手術手技の向上により入院期間が短く、外来OTも短期で終了することが多い。今回、乳癌患者のQOLを調査・検討し、短期介入での援助が十分であるのかを考察する。〈対象〉2011年2月~5月に当院で乳癌の手術を施行、OTを実施し自宅退院に至った患者6名。〈方法〉WHO「QOL-26」、日本乳癌学会「QOL評価研究ガイドラインの調査票」(以下QOL-ACD-B)、自由記載項目を設けた調査票3種を術前、術後5日、術後2週に個別配布し、検討した。〈結果〉QOL26では、QOL平均値は術前3.42、術後5日3.27、術後2週3....
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 60; p. 402 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2011
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.60.0.402.0 |
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Summary: | 〈はじめに〉当院では、乳癌患者の作業療法(以下OT)を術後翌日から開始しているが、手術手技の向上により入院期間が短く、外来OTも短期で終了することが多い。今回、乳癌患者のQOLを調査・検討し、短期介入での援助が十分であるのかを考察する。〈対象〉2011年2月~5月に当院で乳癌の手術を施行、OTを実施し自宅退院に至った患者6名。〈方法〉WHO「QOL-26」、日本乳癌学会「QOL評価研究ガイドラインの調査票」(以下QOL-ACD-B)、自由記載項目を設けた調査票3種を術前、術後5日、術後2週に個別配布し、検討した。〈結果〉QOL26では、QOL平均値は術前3.42、術後5日3.27、術後2週3.33であった。身体的領域別平均値は3.66、3.19、3.3で、心理的領域別平均値は3.36、3.22、3.16であった。QOL-ACD-Bの身体症状は、81.67、66.93、75.65であった。〈考察〉QOL26のQOL平均値と身体領域別平均値が術後5日~2週にかけて上昇、術前の点数に戻りつつある。QOL-ACD-Bも同様な結果であった。これは、従来の身体機能向上を目的とした訓練効果もあるのではないかと思われる。心理的領域別平均値においては、術前、術後5日、2週後と徐々に下降、術前の点数まで回復していなかった。この結果から、OTは心理面が下降している時期に終了している可能性が高く、身体面だけではなく、心理面のQOL向上に繋がるような援助がより必要であると考えられる。作業療法士は身体・精神の両方の知識を兼ね備えており、心理状態に応じて患者の退院後の生活環境や社会的役割にあわせた日常生活動作の指導、環境設定が可能である。このようなOTの特性を活かし、乳癌患者のQOL全体の向上を目指すことにより、心理面のQOL向上に繋がると考えられる。 |
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Bibliography: | 2J-B-5 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.60.0.402.0 |