手指末節骨偽関節に対する手術成績

手指末節骨骨折は比較的頻度の高い骨折で骨癒合は良好であるが稀に偽関節を生じる。【対象】最近7年間に手指末節骨偽関節に対し手術を行ったのは7例7指であった。男性5例、女性2例。母指1例、示指1例、中指3例、小指1例。受傷時開放骨折は3例であった。初期治療は保存治療が5例、観血的治療が1例で放置していた例が1例あった。手術時年齢は19~69才、平均43才であった。受傷から手術までの期間は平均15週(10~21週)であった。偽関節の部位は骨幹部4例、DIP関節部(マレット骨折後)3例であった。骨幹部の偽関節に対しては全例腸骨移植を行い、tension band wiringで固定した。マレット骨折後...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 160
Main Authors 木村, 長三, 加藤, 竜男, 安井, 啓悟, 松橋, 智弥, 深谷, 英昭, 小甲, 晃史, 馬場, 力哉, 濱野, 博基
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2010
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Summary:手指末節骨骨折は比較的頻度の高い骨折で骨癒合は良好であるが稀に偽関節を生じる。【対象】最近7年間に手指末節骨偽関節に対し手術を行ったのは7例7指であった。男性5例、女性2例。母指1例、示指1例、中指3例、小指1例。受傷時開放骨折は3例であった。初期治療は保存治療が5例、観血的治療が1例で放置していた例が1例あった。手術時年齢は19~69才、平均43才であった。受傷から手術までの期間は平均15週(10~21週)であった。偽関節の部位は骨幹部4例、DIP関節部(マレット骨折後)3例であった。骨幹部の偽関節に対しては全例腸骨移植を行い、tension band wiringで固定した。マレット骨折後の偽関節では観血的に骨折部の新鮮化を行い石黒法にて整復・固定を行った。うち1例には骨移植を行った。術後外固定期間は平均5.6週で、平均経過観察期間は21週(12~28週)であった。【結果】7例中6例に骨癒合が得られた。マレット骨折後偽関節の1例で骨癒合が得られず、痛みが残存したためDIP関節の固定術を行った。この1例を除くDIP関節の可動域は骨幹部の4例では伸展-10~0°、屈曲50~60°と良好であったが、マレット骨折後の2例では伸展が-10°、-15°で屈曲が50°、65°と伸展制限が残存した。骨幹部偽関節の4例中3例で皮膚からワイヤーが露出し早期に抜去した。【考察】末節骨骨幹部の偽関節に対する固定法はcross pinningやminiscrewによる固定法が報告されている。当科で行ったtension band wiringは全例速やかに骨癒合が得られ固定力の強さを示していると思われる。しかし、末節骨先端部は軟部組織が少なくワイヤーが皮膚を刺激したり、露出しやすいことが問題である。マレット骨折後の偽関節例では骨癒合が不良なためDIP関節の固定期間が長くなり可動域が悪くなりやすい。
Bibliography:P1-C4-4
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.160.0