A病棟における脳神経外科疾患患者の転倒転落リスク要因の分析

はじめにA病棟は脳神経外科、循環器内科、呼吸器内科で53床の病棟である。平成20年度のA病棟のインシデント発生件数は237件であり、そのうち、転倒、転落によるものは51件であった。これはインシデントレポートの21パーセントを占め、最も起こりやすいインシデントの一つに挙げられた。また、今回の研究期間である平成22年6月~9月の新規入院患者数は66人で、発生した転倒の総件数は29件、そのうち脳血管疾患で入院している患者の転倒は10件であった。そこでA病棟の転倒リスクを知るために、転倒・転落リスク要因について独自のリスクアセスメント用紙を作成し調査した。その結果、転倒、転落には複数の要因が重なってい...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 60; p. 252
Main Authors 土田, 直人, 金井, 裕美, 酒井, 康子, 太田, 紀巳代, 水瀬, 久美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2011
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.60.0.252.0

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Summary:はじめにA病棟は脳神経外科、循環器内科、呼吸器内科で53床の病棟である。平成20年度のA病棟のインシデント発生件数は237件であり、そのうち、転倒、転落によるものは51件であった。これはインシデントレポートの21パーセントを占め、最も起こりやすいインシデントの一つに挙げられた。また、今回の研究期間である平成22年6月~9月の新規入院患者数は66人で、発生した転倒の総件数は29件、そのうち脳血管疾患で入院している患者の転倒は10件であった。そこでA病棟の転倒リスクを知るために、転倒・転落リスク要因について独自のリスクアセスメント用紙を作成し調査した。その結果、転倒、転落には複数の要因が重なっていることが明らかになったためここに報告する。結果平均年齢はA群74歳、B群76歳であった。リスク調査結果の中で数の差がみられたのは「センサーマットの使用」、「ベッド柵の位置(4点柵)」、「ベッドの位置(壁付け)」、「転倒の既往」、「利き手交換している」の項目である。かつ転倒時の患者の訴えは排泄に関する訴えが半数を占めた。さらに排泄方法はオムツでの排泄ではなく、ポータブルトイレや室外廊下トイレ等何らかのトイレの使用が9割を占めた。A群で排泄方法がトイレの使用は9名、オムツの使用が1名であった。また、ADLの面からは、入院前は自立していたが入院後何らかの介助が必要になった場合が10割を占めた。「ナースコールを押せる」の項目ではA、B群両方で7割以上であった。結論1)転倒に年齢は影響しない。2)環境面での対応策をとっていても転倒は発生する。3)転倒時の患者の訴えは排泄に関するものが多い。4)入院前のADLは自立、入院後何らかの介助が必要になった患者に転倒が多い。5)転倒は単独の要因で発生ではなく、複数の要因が重なることで発生する。6)ベッドサイドで転倒が発生しやすい。
Bibliography:2G-5
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.60.0.252.0