がん化学療法における医療事故防止への取り組み

新規抗がん剤の登場や新たなレジメンの開発などにより がん化学療法の内容は複雑化している。そのため,多様化 するレジメンの管理や処方鑑査を充実させることがリスク マネジメントの点から重要である。今回,レジメンの管 理,抗がん剤チェックシートを用いての処方鑑査,臨時処 方に対する鑑査体制の強化など,抗がん剤調製室における 医療事故防止への取り組みについて報告する。 レジメン管理:委員会の設置後,レジメン登録の審査 制,支持療法の統一化を図りエビデンスに則ったレジメン 管理ができるようになった。 抗がん剤チェックシート:誤投与,調製ミスを防ぐ目的 で作成し,患者検索・調製量の計算が簡便にでき,調製方...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 58; p. 420
Main Authors 猪瀬, 成史, 色川, 正憲, 常盤, 英文, 大谷, 俊裕, 堀越, 建一, 田上, 貴美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2009
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.58.0.420.0

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Summary:新規抗がん剤の登場や新たなレジメンの開発などにより がん化学療法の内容は複雑化している。そのため,多様化 するレジメンの管理や処方鑑査を充実させることがリスク マネジメントの点から重要である。今回,レジメンの管 理,抗がん剤チェックシートを用いての処方鑑査,臨時処 方に対する鑑査体制の強化など,抗がん剤調製室における 医療事故防止への取り組みについて報告する。 レジメン管理:委員会の設置後,レジメン登録の審査 制,支持療法の統一化を図りエビデンスに則ったレジメン 管理ができるようになった。 抗がん剤チェックシート:誤投与,調製ミスを防ぐ目的 で作成し,患者検索・調製量の計算が簡便にでき,調製方 法の統一化や効率化につながっている。また調製方法を示 すことで看護師との鑑査にも使用される。今回,処方鑑査 を充実させるためにチェックシート上で,病名とレジメン 適応,適正投与量,履歴の確認を行えるようした。疑義照 会の内容から,チェックシートを利用することで,投与量 の増減,レジメン変更の有無,投与間隔の確認に有効であ り,インシデントの事前回避に貢献できた。 締め時間以降の処方鑑査体制:外来の抗がん剤処方は, すべて処方鑑査後,調製を行っている。入院処方に関して は,病棟で調製するため薬品庫から直接払い出され,事前 に薬剤師による処方鑑査は行われていなかった。そこで, 抗がん剤を病棟に払い出す際に,薬品庫から抗がん剤調製 室に連絡が入り,処方鑑査を行った後,病棟服薬担当者へ 連絡することとした。鑑査体制を整えたことにより院内で 施行されるすべての抗がん剤についてリスクマネジメント が可能となった。 より安全にがん化学療法を行うためにも,レジメンの適 正化を図ることや調製以外の投与量・投与間隔など処方鑑 査を強化するなど,安全管理を充実させることが必要であ る。
Bibliography:P2-C319
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.58.0.420.0