生活習慣病予防の観点から見た新潟県長岡市の食生活の課題

【目的】近年、国民の健康意識が高まる中、生活習慣、特に食習慣が健康の維持増進に与える影響について注目されている。これらの動向を明らかにするため国民健康・栄養調査が毎年実施されているが、本調査は11月のある1日のみの調査であることから、生活習慣や季節による変動を考慮した年間の食生活状況について検討することは困難である。そこで本研究では、新潟県長岡市において1年間にわたる継続的な食事調査を実施して、その食生活状況について把握し、健康増進対策の課題を明らかにすることを目的とした。【調査方法】国民健康・栄養調査に準拠し、秤量法による食事調査を実施して、直接面接法により個別に内容の確認を行った。平成18...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 263
Main Authors 西川, 悦子, 山田, チヨ, 小場, 美穂, 古川, 素子, 堀, 裕子, 笠原, 賀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.263.0

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Summary:【目的】近年、国民の健康意識が高まる中、生活習慣、特に食習慣が健康の維持増進に与える影響について注目されている。これらの動向を明らかにするため国民健康・栄養調査が毎年実施されているが、本調査は11月のある1日のみの調査であることから、生活習慣や季節による変動を考慮した年間の食生活状況について検討することは困難である。そこで本研究では、新潟県長岡市において1年間にわたる継続的な食事調査を実施して、その食生活状況について把握し、健康増進対策の課題を明らかにすることを目的とした。【調査方法】国民健康・栄養調査に準拠し、秤量法による食事調査を実施して、直接面接法により個別に内容の確認を行った。平成18年5月より年4回(春5~6月、夏8~9月、秋11~12月、冬2~3月)実施し、1回の調査ごとに、連続しない平日2日間と週末1日間の計12日間とした。対象者は事前に同意の得られた30世帯98名(男性47名、女性51名)とし、そのうち20歳以上の86名(男性41名、女性45名)を今回の解析対象とした。【結果および考察】1)年間平均栄養素等摂取量は、エネルギー2026±526kcal、たんぱく質75.8±23.0g、炭水化物285.6±70.9gであり、平成16年度国民健康・栄養調査結果(国)に比し高値であったが、脂質は54.6±22.0gで国とほぼ同様であった。PFC比は、15.0:22.9:62.1であり、適正比率であった。ビタミン類は、ビタミンA635±734g、ビタミンE8.8±4.5g、ビタミンB11.04±0.75gが国に比し低値であったが、他はほぼ同様か高値であった。ミネラル類は、国に比しいずれも高値であり、特に、カルシウム595±240mg、マグネシウム297±94mgは、骨粗しょう症の予防等にも有効であると考えられる。さらに、カリウムは2829±891mgであり、高血圧の一次予防を積極的に進める観点から支持されている3500mg/日には及ばぬものの高値であった。また、食物繊維も17.5±6.3gと目標量に近似しており、他の栄養素の適正摂取等を含めて生活習慣病の予防効果が期待できる。2)食品群別摂取状況では、米類は342.9±160.1gであり、日本有数の米どころであるにも拘わらず国とほぼ同様であった。緑黄色野菜は144.3±103.8g、その他の野菜は245.1±135.9g、計389.4±22.0gであり、生活習慣病予防のために必要とされる350g/日に比しても高値であった。さらに、海藻類も18.9±29.6gと高く、これらが食物繊維の摂取量に反映されていると考えられる。また、緑黄色野菜の摂取量が多いにも拘らず、ビタミンAが低い背景には、地元で栽培され多食されている野菜の種類が関係していると考えられる。一方、肉類63.6±58.9g、生魚類64.5±69.7gは国に比し少ない反面、卵類38.2±31.5gや特産品の豆類66.1±76.2gは高値であった。また、食塩は12.0±4.4g、うち、男性12.9±4.4g、女性11.2±3.9gとそれぞれの目標量に比し非常に高く、生活習慣病のリスク上昇を予防する見地からも減塩の必要性が示唆された。国に比し、調味料107.2gや漬け物27.8gの多いことが食塩過剰摂取の原因の一つであると考えられる。さらに、菓子類37.6±56.4gも国に比し多く、間食の選択方法や適正量等についての教育の重要性が見出された。なお、地域別および季節変動等については現在解析中である。 補)本研究の一部は、独立行政法人国立健康・栄養研究所の平成18年度委託事業を受けて実施した。
Bibliography:2E06
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.263.0