顎関節MRIでの撮像時間短縮による関節円板
はじめに<BR>顎関節症のMRI検査では,関節円板の位置や形態を判定することが病態を理解し,治療方針の決定あるいは予後を判定する上で重要である.しかし顎関節症患者では開口位撮像時に疼痛を伴う場合があり,動きによるアーチファクトが生じ診断の妨げとなることが多いため,短時間での撮像が望ましい.<BR>本研究では,撮像時間を短縮することで,動きによるアーチファクトの軽減を試みたので報告する.<BR>対象及び方法<BR>2005年3月から2006年8月までの1年6ヶ月間に顎関節症と臨床診断されMRI検査を行った49例(98関節)のうち,関節雑音や顎関節痛などの症状を認めなかった25例(35関節)を対象...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 246 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
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ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.56.0.246.0 |
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Summary: | はじめに<BR>顎関節症のMRI検査では,関節円板の位置や形態を判定することが病態を理解し,治療方針の決定あるいは予後を判定する上で重要である.しかし顎関節症患者では開口位撮像時に疼痛を伴う場合があり,動きによるアーチファクトが生じ診断の妨げとなることが多いため,短時間での撮像が望ましい.<BR>本研究では,撮像時間を短縮することで,動きによるアーチファクトの軽減を試みたので報告する.<BR>対象及び方法<BR>2005年3月から2006年8月までの1年6ヶ月間に顎関節症と臨床診断されMRI検査を行った49例(98関節)のうち,関節雑音や顎関節痛などの症状を認めなかった25例(35関節)を対象とした.<BR>MRI装置はマルコーニ社製Eclipse 1.5Tで ,コイルは顎関節専用コイルを使用した.撮像条件はTR 880ms,TE 11.8ms,スライス厚3.5mm,FOV130mmとした.また2006年1月まで顎関節開口位撮像はT1強調矢状断像を加算回数2回とし,約3分で撮像していた.この方法で撮像した11例(15関節)を_I_群とした〔男性2例,女性9例,平均年齢は53.5±20.9(SD)歳〕. 2006年2月からは,動きによるアーチファクトを抑制し,画質の改善を目的とし,加算回数を1回にすることで撮像時間の短縮を試みた. この方法で撮像した14例(20関節)を_II_群とした〔男性5例,女性9例,平均年齢は44.1±22.0(SD)歳〕.<BR> 評価は,関節円板が描出されず診断不可能:0,関節円板の位置判別が困難:1,関節円板の位置が判別でき形態が不明瞭:2,関節円板の位置が判別でき形態が明瞭:3とした. <BR> 判定は歯科口腔外科医3名,放射線科医1名で行い,MRI撮像時間変更前後における関節円板描出能の変化を比較検討した.<BR>結果<BR>関節円板の描出において_II_群のほうが_I_群よりも有意に評価点が上昇した(図1).<BR>考察<BR> 診断の妨げとなる動きによるアーチファクトを軽減するためには,いかに撮像時間を短くし撮像中の動きを抑制するかが問題である.時間を短くする方法はいくつかあるが,今回の検討では加算回数を減少することで撮像時間の短縮を試みた.加算回数の減少に伴い信号強度雑音比(以下SNR)の低い画像となる.しかし_I_群に比べ_II_群の方が関節円板の描出は良好であった.これはSNRが低下した影響以上に,短時間の撮像により患者への負担が軽減し,動きによるアーチファクトが減少したためと考えられた. <BR>今後はさらにSNR・コントラストの良い画像を提供するために,加算回数以外の撮像条件を検討する必要があると考える. |
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Bibliography: | 2D17 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.56.0.246.0 |