運動学習の臨床応用 課題と展望
「はじめに」 本稿で取り上げるトピックスの背景には, 心理学領域, 生理学領域, 力学領域などにおける運動学習の理論群がある1). しかし現状では, 理学療法学の中から生まれた運動学習理論は存在しない. 理学療法と運動学習理論の関係は, 学際領域で提示されているいくつかの運動学習理論を借りて, 理学療法の評価・治療の裏付け的説明をする段階にあると思われる. そこで本稿は, 理論の変遷から臨床応用へと進む正攻法ではなく, 逆の方向で, 理学療法の臨床的な現象を運動学習・制御の理論で説明することから始める. 具体例に入る前に, いくつかの基本的な事項について著者の考えを述べておきたいと思う. まず...
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Published in | 理学療法学 Vol. 35; no. 4; pp. 202 - 205 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
20.06.2008
日本理学療法士協会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.KJ00004963394 |
Cover
Summary: | 「はじめに」 本稿で取り上げるトピックスの背景には, 心理学領域, 生理学領域, 力学領域などにおける運動学習の理論群がある1). しかし現状では, 理学療法学の中から生まれた運動学習理論は存在しない. 理学療法と運動学習理論の関係は, 学際領域で提示されているいくつかの運動学習理論を借りて, 理学療法の評価・治療の裏付け的説明をする段階にあると思われる. そこで本稿は, 理論の変遷から臨床応用へと進む正攻法ではなく, 逆の方向で, 理学療法の臨床的な現象を運動学習・制御の理論で説明することから始める. 具体例に入る前に, いくつかの基本的な事項について著者の考えを述べておきたいと思う. まず, 運動学習の定義であるが, これには次に示す3つの重要な要因が含まれている;(1)練習や経験に基づく一連の過程であり, (2)結果として技能的行動を遂行する能力を獲得させ, (3)効果は比較的永続的である. |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00004963394 |