当院における助産師外来の患者満足度と今後の課題
〈はじめに〉 出産を迎えた女性は、心身の変化に戸惑いながら妊娠経過を受容していく。その中で悩みや出産に対する不安を抱えた妊婦は、それを解決していきながら出産の意識を高めていくが、従来の妊婦健診では妊婦のニーズを満たすことは難しい。多様化する妊婦のニーズに対応するため、また助産師の専門性を高めるために当院では「助産師外来」を平成16年2月より開設した。以来2年が経過したため、その業務を評価し、今後の方向性を検討した。 〈概要〉当院の助産師外来は、病棟の助産師が正常な妊娠経過をたどる妊婦に対し、妊婦健診・保健指導・バースプラン説明を実施している。 〈方法〉 対象:平成17年5月から18年1月の間に...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 146 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.55.0.146.0 |
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Summary: | 〈はじめに〉 出産を迎えた女性は、心身の変化に戸惑いながら妊娠経過を受容していく。その中で悩みや出産に対する不安を抱えた妊婦は、それを解決していきながら出産の意識を高めていくが、従来の妊婦健診では妊婦のニーズを満たすことは難しい。多様化する妊婦のニーズに対応するため、また助産師の専門性を高めるために当院では「助産師外来」を平成16年2月より開設した。以来2年が経過したため、その業務を評価し、今後の方向性を検討した。 〈概要〉当院の助産師外来は、病棟の助産師が正常な妊娠経過をたどる妊婦に対し、妊婦健診・保健指導・バースプラン説明を実施している。 〈方法〉 対象:平成17年5月から18年1月の間に当院の助産師外来を受診した妊婦50人に対し、産後入院中に独自に作成したアンケートを行った。 〈結果〉 1.対象者:初産婦26人、経産婦24人であった。出産方法では経膣分娩が39人(78%)、帝王切開が11人(22%)であった。 2.助産師外来の評価:受診して非常に良かった・よかったと回答した妊婦は82.5%、内訳は初産婦88%、経産婦71%であり、多くの妊婦が助産師外来を肯定的に捉えていた。アンケート結果より、妊娠経過の受容・効果的な受診・不安の解消・出産方法の理解・助産師との人間関係・乳房管理の6項目に分類すると、肯定的意見の第一位は助産師との人間関係であった。しかし初産婦の11.6%、経産婦の29.2%はどちらでもないという回答であり、経産婦の評価が低かった。 3.バースプランの活用状況:妊婦の主体性を育てるためにバースプランを指導しているが、バースプランを夫と話し合った妊婦は73.9%、話し合ってない妊婦は26.1%であった。また、バースプランを話し合った妊婦は、話し合ってない妊婦に比べバースプランの各項目で高い活用度を示した。 4.今後助産師外来に期待すること:もっと回数を増やしてほしい、という意見が多く、その他にはバースプランを具体的に教えてほしい、気になる症状について具体的な指導を希望するなどがあった。 〈考察〉 今回の結果から、当院における助産師外来を受けた反応は良好であり、出産について考えることができた・不安の解消ができたという意見があった。助産師は妊婦にとって意見を聞きやすい相談しやすい存在であるといえる。しかし妊婦の求めるニーズに応えきれてなく、助産師外来の回数を増やして欲しいという意見や、医師が行う妊婦健診との違いが理解できていないという意見があった。今後、助産師外来の実施回数を増やし、妊婦のニーズに応えていくことが必要である。また、バースプランをより充実させるために、夫の参加を妊婦に促していく必要がある。バースプランは妊婦自身の出産や育児について実践するための計画となるため、妊娠後期に助産師外来を受けることは、妊婦の主体性を尊重しながらバースプランを深めていくこととなる。 〈結論〉 ・助産師外来を受診してよかったと思う褥婦は82.6%と多く、必要性は大きい。 ・夫と話し合った妊婦のバースプランは実用性であり、効果的である。 ・今後助産師外来の回数を増やすことで、継続ケアの必要性が示唆された。 |
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Bibliography: | 1G312 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.55.0.146.0 |