健診における肺年齢測定の検討
【はじめに】 日本呼吸器学会では、呼吸機能検査の指標として、肺の状態を年齢で表す肺年齢という概念を提唱している。当院で健診時実施した肺年齢測定の検査成績を検討したので報告する。 【対象および方法】 平成21年11月~翌3月までの期間、人間ドック受診者のうちスパイロメトリーを実施した567名(男性318名、女性249名)。 肺年齢から実年齢を差し引いた数値を年齢差としてA・B・Cの3群に分類し比較した。B、C群を要精査とした。 A群:実年齢との差が5才未満 B群:実年齢との差が5才以上15才未満 C群:実年齢との差が15才以上 【結果】 1)どの年代も男性に肺年齢が高い傾向がみられた。男女と...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 100 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.59.0.100.0 |
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Summary: | 【はじめに】 日本呼吸器学会では、呼吸機能検査の指標として、肺の状態を年齢で表す肺年齢という概念を提唱している。当院で健診時実施した肺年齢測定の検査成績を検討したので報告する。 【対象および方法】 平成21年11月~翌3月までの期間、人間ドック受診者のうちスパイロメトリーを実施した567名(男性318名、女性249名)。 肺年齢から実年齢を差し引いた数値を年齢差としてA・B・Cの3群に分類し比較した。B、C群を要精査とした。 A群:実年齢との差が5才未満 B群:実年齢との差が5才以上15才未満 C群:実年齢との差が15才以上 【結果】 1)どの年代も男性に肺年齢が高い傾向がみられた。男女ともC群の割合が最も高いのは30代で男性25.9%、女性18.8%であった。年齢が高くなると徐々に低下傾向を示した。喫煙率は男性31.4%、女性8.8%、30代男性が最も高く53.8%だった。 2)喫煙者群の実年齢差の平均は+2.5才、喫煙歴のある群-2.3才と正常範囲、非喫煙者群は-7.2才と実年齢より若い肺機能を示した。 3)B・C群152名(26.8%)を要精査とし、3ケ月以内の受診率は28.9%であった。精査の結果、異常群18.2%、異常を認めた群(要観察、要医療)が81.8%で、喘息、COPD、肺気腫、肺腫瘤などの疾患が確認された。 【まとめ】 喫煙率が高い男性、特に30代の若年層に肺機能低下の傾向がみられた。実年齢差の平均で喫煙者群が高い数値を示したことからも、喫煙が肺機能に影響を及ぼしていることが伺える。精査の結果、COPDをはじめCOPD以外の疾患も確認されたことから、肺年齢測定は呼吸機能障害を伴う疾患の早期発見に有効であることが示唆された。 |
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Bibliography: | P1-A4-3 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.59.0.100.0 |