Nutrition Support Team(NST)稼動による栄養管理改善内容とその効果について
はじめに)2006年4月より当院はNST活動を開始し、入院患者様の栄養管理を実施してきた。今回、NST稼動1年の活動内容とその効果について報告する。 活動内容) 1)初期栄養評価法の確立(年齢とCh-Eを指標とした一次スクリーニング) 2)栄養管理計算ソフトの開発 3)口腔ケアマニュアル 4)腸内細菌叢の改善と維持を目的としたBLO療法(Bifidobacterium breve+ Lactobacillus casei+ Oligosaccharide)の導入 5)急性・亜急性期経管栄養開始法(院内ポカリの作成) 6)経管栄養剤の見直し(半固形化栄養剤の導入)と経管栄養法約束処方の作成 7)...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 238 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.56.0.238.0 |
Cover
Summary: | はじめに)2006年4月より当院はNST活動を開始し、入院患者様の栄養管理を実施してきた。今回、NST稼動1年の活動内容とその効果について報告する。 活動内容) 1)初期栄養評価法の確立(年齢とCh-Eを指標とした一次スクリーニング) 2)栄養管理計算ソフトの開発 3)口腔ケアマニュアル 4)腸内細菌叢の改善と維持を目的としたBLO療法(Bifidobacterium breve+ Lactobacillus casei+ Oligosaccharide)の導入 5)急性・亜急性期経管栄養開始法(院内ポカリの作成) 6)経管栄養剤の見直し(半固形化栄養剤の導入)と経管栄養法約束処方の作成 7)PEG造設後の経管栄養開始法 8)栄養管理情報提供書 9)在宅栄養管理支援:在宅にて半固形化栄養法を実施するための薬価収載栄養剤の寒天レシピ作成(これにより成分栄養剤・半消化態栄養剤・半固形化栄養法の管理が可能となった) 10)嚥下訓練段階食 11)ハーフ食の導入(主食副食とも半量)サプリメントを追加可能とした。 12)経管栄養投与速度の適正化の啓蒙などを実施した。NST稼動による上記の12項目を実施することで末梢静脈、TPNから経口経腸栄養、入院から在宅栄養までの一連管理体制の確立と標準化をすることができた。 NSTの効果)NSTの効果に関して次に示す項目について検討した。1)TPN施行率と経管栄養施行率2)カテーテル敗血症発生状況3)経管栄養投与速度適正化の啓蒙4)PEG造設後の経管栄養開始法の導入前後における栄養管理状況を比較検討した。 結果)1)TPN施行率については稼動前22%、稼動後18%に減少した。経管栄養施行率については稼動前14%、稼動後16%に増加した。2)カテーテル敗血症発生件数は稼動前47例、稼動後28例、うちカテーテル先端培養陽性例は、稼動前33例、稼動後19例、発生率(/1000本挿入数)は、稼動前5.0、稼動後3.6と減少を認めた。3)経管栄養適正投与速度の啓蒙を行い、稼動後経管栄養ポンプが14台増加され、これにより経管栄養施行例の約半数例でポンプ管理が可能となった。4)検討対象症例はPEG造設後栄養開始法導入前17例(平均年齢82.8歳)導入後11例(平均年齢83.2歳)とした。男女比や造設前の栄養管理法および栄養状態に有意差は。導入前後におけるa)造設後から経管栄養開始までの期間、b)造設後からの持続点滴施行期間、c)消化器症状(PEG造設後から1週間の便の回数)についてみたところ、a)開始までの期間は、導入前平均2日、導入後1日、b)持続点滴施行期間は導入前8.1日が導入後5.6日(p=0.008)に短縮、c)消化器症状は導入前6.8回、導入後3.9回(p=0.07)と減少。導入前後における下剤の投与に差はなかった。 考察)NST稼動1年目は栄養管理法の院内統一を第一に考え活動してきた。それに伴い様々な栄養管理状況の改善が認められた。栄養管理法を標準化することは栄養管理方法のStaffへの啓蒙・啓発および症例を検討するうえで有用であると考える。 |
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Bibliography: | 2D09 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.56.0.238.0 |