精神科病棟における作業療法への参加率を上げる取り組み
〈緒言〉当病棟は総合病院内にある精神神経科の閉鎖病棟である。平成14年に新設されてから近隣の単科の精神科病院・施設から身体合併症のある患者を受け入れるようになった。最近は身体合併症の患者のケアの比重が大きくなり、本来の精神科看護があまり行き届かなくなっている現状である。その状況に比例して、患者の作業療法の参加率の低迷が見られている。作業療法は精神科における患者の治療の一貫であり社会復帰に向けての重要な治療である。今回、作業療法士・医師と協同し、TQM活動にて現状分析し改善方法を考え作業療法により多くの患者が参加できるよう活動した内容を報告する。 〈方法〉1現状把握□平成18年度の作業療法処方箋...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 57; p. 246 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2008
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.57.0.246.0 |
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Summary: | 〈緒言〉当病棟は総合病院内にある精神神経科の閉鎖病棟である。平成14年に新設されてから近隣の単科の精神科病院・施設から身体合併症のある患者を受け入れるようになった。最近は身体合併症の患者のケアの比重が大きくなり、本来の精神科看護があまり行き届かなくなっている現状である。その状況に比例して、患者の作業療法の参加率の低迷が見られている。作業療法は精神科における患者の治療の一貫であり社会復帰に向けての重要な治療である。今回、作業療法士・医師と協同し、TQM活動にて現状分析し改善方法を考え作業療法により多くの患者が参加できるよう活動した内容を報告する。 〈方法〉1現状把握□平成18年度の作業療法処方箋の出ている患者の作業療法の参加率は41%であり、1日平均18.2人と低迷していた。患者に作業療法の意味・活動内容をアンケート調査したところ、無回答が50%あり、患者が作業療法とはどのようなものか理解していないこと、スタッフの説明も統一性がないことが判明した。2要因分析□患者アンケート・職員アンケートの結果から1)作業療法箋が出ている患者の把握不足2)医師からの患者への説明・参加への促し不足3)患者がどんな作業をしたらよいか分からないと判明した。3改善策の検討 問題解決に向けた重要要素、その具体的対策を考え、継続性、実現性、効果性、重要性を点数化した結果、1)作業療法箋のある患者の一覧を掲示する。2)参加者を分かりやすくするため出席簿をつける。3)患者に作業内容が分かるように掲示する。4)患者が何をしたいかを意見をもらうという対策があがった。 4改善の実施及び成果 スタッフステーション内に作業療法処方箋のある患者一覧、作業療法参加者名簿より参加率の低い患者の一覧を毎月掲示することにより、スタッフが作業療法に参加するように働きがける活動が活発になった。作業療法室に患者の意見、希望を書けるように意見板を設置し活用した。患者からは作業療法に取り入れて欲しい内容が出されたりするようになった。作業療法処方箋が出されるとき医師が患者に作業療法の目的、必要性を説明すること、作業療法士が処方箋、患者の状況と患者の意見、希望を考えて作業内容計画することで患者は自己目標ができ参加することができるようになった。作業中はスタッフが一緒に参加し、患者と同じ作品を作成したりゲームを患者のペースに合わせて行なうことで患者の作業意欲を少しずつ引き出すことにつながった。有形効果では平均参加人数は18.3人、参加率は43%であった。無形効果ではスタッフが患者と一緒の時間を過ごすことで、患者が作業療法に集中する姿が見られるようになった。またスタッフがその場にいることで患者間の仲介ができ患者同士の交流が持てるようになった。 〈課題〉患者層の状況を把握し作業療法の参加の減少を防ぐ 〈結語〉作業療法の内容に関して患者の意見を積極的に取り入れ活動していく。 |
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Bibliography: | 2F199 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.57.0.246.0 |