床上排便のための円座型便器の考案

脊椎圧迫骨折や大腿骨頚部骨折などで入院する患者は、安静が必要であり尿留置カテーテルや床上排便を余儀なくされる。特に排便時には患部の痛みから、差し込み便器の使用は困難であり、紙オムツを使用していた。しかし患者の多くが不快感を訴えていたため、平オムツによる円座型便器を考案した。 在宅介護ビデオを参考に円座型便器を作成しプレテストを実施した。その後患者19名に使用し、「患部の痛み」・「不快感」・「安定感」の3項目について聞き取り調査をした。 プレテストの結果、便器の安定感と高さを確保するために新聞紙を芯にした円座型便器を作成した。聞き取り調査の結果、患部の痛みは18名が「ない」、1名が「少しある」で...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 320
Main Authors 小原, 美和, 藤田, 節子, 内山, 美香, 鈴木, 文子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.320.0

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Summary:脊椎圧迫骨折や大腿骨頚部骨折などで入院する患者は、安静が必要であり尿留置カテーテルや床上排便を余儀なくされる。特に排便時には患部の痛みから、差し込み便器の使用は困難であり、紙オムツを使用していた。しかし患者の多くが不快感を訴えていたため、平オムツによる円座型便器を考案した。 在宅介護ビデオを参考に円座型便器を作成しプレテストを実施した。その後患者19名に使用し、「患部の痛み」・「不快感」・「安定感」の3項目について聞き取り調査をした。 プレテストの結果、便器の安定感と高さを確保するために新聞紙を芯にした円座型便器を作成した。聞き取り調査の結果、患部の痛みは18名が「ない」、1名が「少しある」であった。不快感については9名が「ない」、6名が「少しある」、4名が「ある」であった。安定感については12名が「ある」、5名が「少しある」、2名が「ない」であった。 床上での便器や紙オムツによる排便は、心身の不快や苦痛を伴い、便秘や食欲不振などを引き起こす要因の一つになると考えられる。今回、考案した円座型便器は少しでも自然に近い形で排便できるように工夫したことで心身の不快や苦痛を軽減できたと考える。しかし、床上排泄そのものが心身の不快を伴っていることから、全ての不快を取り除くことには限界があったと考える。今後、排泄用具の工夫だけにとどまらず、床上排泄における排便コントロールやプライバシーの配慮などの環境を整えていくことが課題である。
Bibliography:P2-B3-6
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.320.0