Günther-Tulip回収型下大静脈フィルターが下大静脈壁に穿孔し抜去不能にいたった1例
症例は陳旧性心筋梗塞にて当院通院中の58歳,男性.2008年8月下旬より左下腿浮腫が出現した.9月上旬より安静時の呼吸苦も出現し軽快しないため救急要請のうえ,当院搬送された.来院時Dダイマー22.4µg/mLと高値であり,造影CTにて右肺動脈下葉枝と左肺動脈上葉枝に血栓を認め,腎静脈分岐部以下から左下腿にかけて連続する血栓を認めたため急性肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症と診断した.循環動態と酸素化は保たれていたため同日下大静脈フィルターを挿入しウロキナーゼによる血栓溶解療法とカテーテルによる血栓吸引療法の方針とした.入院第6日にGüther-Tulipフィルターに交換.入院第19日には肺動脈内...
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Published in | Shinzo Vol. 42; no. 5; pp. 644 - 650 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2010
Japan Heart Foundation |
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Summary: | 症例は陳旧性心筋梗塞にて当院通院中の58歳,男性.2008年8月下旬より左下腿浮腫が出現した.9月上旬より安静時の呼吸苦も出現し軽快しないため救急要請のうえ,当院搬送された.来院時Dダイマー22.4µg/mLと高値であり,造影CTにて右肺動脈下葉枝と左肺動脈上葉枝に血栓を認め,腎静脈分岐部以下から左下腿にかけて連続する血栓を認めたため急性肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症と診断した.循環動態と酸素化は保たれていたため同日下大静脈フィルターを挿入しウロキナーゼによる血栓溶解療法とカテーテルによる血栓吸引療法の方針とした.入院第6日にGüther-Tulipフィルターに交換.入院第19日には肺動脈内血栓と下大静脈から左大腿静脈内の血栓消失を認めGüther-Tulipフィルターの回収を試みたが,フィルターの先端が下大静脈壁に穿孔しており,抜去を行わず永久留置の方針とした. 下大静脈フィルターによる下大静脈穿孔は,稀と思われ若干の考察とともに報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.42.644 |