農村高齢者における農繁期と農閑期の気分の調査からみた精神面への支援の検討

【目的】 本研究は農林水産省による「農村高齢者の健康支援推進事業」の一つとして行った。長野県某大規模畑作地帯では農繁期と農閑期で身体活動量に大きな差がある。今回、両時期間で精神面(気分)の変化を伴うかどうかを検討することを目的とした。 【対象・方法】 対象は、2009年10~11月(農繁期)と2010年2月(農閑期)の健診を受診した65歳以上の148名(男性69名、平均年齢75.3歳、女性79名、平均年齢72.0歳)。POMS(簡易版)を両時期で実施し、生活についてのアンケート(心配事や愚痴を聞いている「聞いている」、心配事や愚痴を話せる人がいる「話せる人がいる」)を農閑期に行った。倫理的配慮...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 60; p. 387
Main Authors 中澤, あけみ, 前島, 文夫, 柳澤, 和也, 夏川, 周介, 一本鎗, 七恵, 倉根, 大和, 西垣, 良夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2011
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.60.0.387.0

Cover

More Information
Summary:【目的】 本研究は農林水産省による「農村高齢者の健康支援推進事業」の一つとして行った。長野県某大規模畑作地帯では農繁期と農閑期で身体活動量に大きな差がある。今回、両時期間で精神面(気分)の変化を伴うかどうかを検討することを目的とした。 【対象・方法】 対象は、2009年10~11月(農繁期)と2010年2月(農閑期)の健診を受診した65歳以上の148名(男性69名、平均年齢75.3歳、女性79名、平均年齢72.0歳)。POMS(簡易版)を両時期で実施し、生活についてのアンケート(心配事や愚痴を聞いている「聞いている」、心配事や愚痴を話せる人がいる「話せる人がいる」)を農閑期に行った。倫理的配慮については、文書で調査内容、個人情報保護等を説明し、健診時にも質問の機会を確保した上で同意を得た。 【結果・考察】 1、農繁期と農閑期で緊張・不安と抑うつ感の点数に有意差はみられなかった。農閑期には外に出る頻度が減る等から抑うつ感が増すことを予想したが、村で健康学習会などの保健事業を通じて住民同士の繋がりをもつ場を積極的に設けている事がこの結果に繋がったのかもしれない。 2、農閑期における緊張・不安と抑うつ感について「話せる人がいる」「聞いている」との関連でみると、男性では、「聞いている」は緊張・不安点数が有意に高かった。「聞いている」について「話せる人がいる」の有無を男女で比較してみると、男性55人中45人(82%)、女性68人中67人(99%)で、男性は「話せる人がいる」が少なかった。人の話を聞いていても、話せる人がいないと緊張・不安が増す可能性が考えられた。 【結論】 男性では農閑期の家族や友人との関わり方が緊張・不安に影響する可能性がある。今後、生活と気分の関連について調査を続け、特に男性が参加しやすい相談場所の設置等を検討したい。
Bibliography:2J-A-17
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.60.0.387.0