予定入院患者における事前持参薬調査の実態

【目的】長野松代総合病院では,診断群分類に基づく入院医療費の包括評価の導入に伴い, 2008年4月より,手術目的の予定入院患者全てに対して,薬剤師による入院前の持参薬調査(以下調査)を実施している.その際に使用薬剤の把握および術前中止薬の中止日などの説明を合わせて行っている.今回,調査がリスクマネージメントに,どの程度貢献しているかを検討したので報告する.【対象および方法】2008年4月から2009年3月までの1年間に調査を実施した,手術目的の予定入院患者のうち,後述の項目が調査可能であった850人を対象とした.調査時の記録から,1)年齢2)使用薬剤3)院内採用規格違い薬剤および院内非採用薬4...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 418
Main Authors 望月, 美沙, 青木, 朋子, 西村, 智佳, 長田, 和士, 藤井, 宏亮, 高森, 正人, 秋月, 章, 渡辺, 恵, 山口, 晶子, 瀧澤, 好廣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.418.0

Cover

More Information
Summary:【目的】長野松代総合病院では,診断群分類に基づく入院医療費の包括評価の導入に伴い, 2008年4月より,手術目的の予定入院患者全てに対して,薬剤師による入院前の持参薬調査(以下調査)を実施している.その際に使用薬剤の把握および術前中止薬の中止日などの説明を合わせて行っている.今回,調査がリスクマネージメントに,どの程度貢献しているかを検討したので報告する.【対象および方法】2008年4月から2009年3月までの1年間に調査を実施した,手術目的の予定入院患者のうち,後述の項目が調査可能であった850人を対象とした.調査時の記録から,1)年齢2)使用薬剤3)院内採用規格違い薬剤および院内非採用薬4)術前中止薬を検討した.【結果】1)調査対象850人のうち,602人が60~80代であった.2)持参薬を有した患者は83.1%で,40~80代では年齢が上がるごとに使用薬剤数が増加していた.3)院内採用規格違い薬剤服用患者は持参薬を有した患者のうち26.4%,院内非採用薬服用患者は23.2%であった.4)70代の37.6%,80代の50.9%が術前中止薬を有し,手術7日前から中止する必要がある薬剤は全術前中止薬の66.4%であった.【考察】今回の調査では,年齢が上がるごとに使用薬剤数が増える傾向にあることが認められ,厚生労働省の調査と一致した結果が得られた. 26.4%の患者が院内採用規格違い薬剤, 23.2%が院内非採用薬を服用していた.薬剤の変更により,服薬コンプライアンスに影響を及ぼす可能性が考えられた.予定手術入院患者および術前中止薬持参患者はともに高齢者が多く,手術7日前から中止する必要がある薬剤の割合が高いという結果が得られた.手術の7日前から薬剤を中止する場合,入院前から中止することもあることから,入院前に使用薬剤を把握し,中止薬などについて適切に説明することが重要であり,リスクマネージメントの点からも本業務は有意義と考えられた.
Bibliography:P2-F2-2
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.418.0