H1N1pmd2009流行時の小児医療体制の検証

【はじめに】茨城県は人口300万人、小児人口42万人、小児人口比小児科医数が全国平均の68%最下位で、H1N1pdm2009流行は地震等と違い全国で同時期に一様に起こる災害であり、最大の危機管理対策が必要と思われた。昨年茨城県で行なった小児H1N1pdm2009対策を検証する。【茨城県内で行った対策】2009.08.31に土浦、2009.10.18に水戸で、県内の小児科医と行政(茨城県健康危機管理対策室、衛生研究所)が集まって、講演会とシンポジウムを行った。熱性けいれん、急性脳症、クループ、ARDSの4疾患の診療方針、一次二次三次小児医療体制、予防接種について県内で話し合った。インフルエンザと...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 215
Main Authors 黒澤, 信行, 渡辺, 章充, 渡部, 誠一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.215.0

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Summary:【はじめに】茨城県は人口300万人、小児人口42万人、小児人口比小児科医数が全国平均の68%最下位で、H1N1pdm2009流行は地震等と違い全国で同時期に一様に起こる災害であり、最大の危機管理対策が必要と思われた。昨年茨城県で行なった小児H1N1pdm2009対策を検証する。【茨城県内で行った対策】2009.08.31に土浦、2009.10.18に水戸で、県内の小児科医と行政(茨城県健康危機管理対策室、衛生研究所)が集まって、講演会とシンポジウムを行った。熱性けいれん、急性脳症、クループ、ARDSの4疾患の診療方針、一次二次三次小児医療体制、予防接種について県内で話し合った。インフルエンザと合併疾患の診療方針を小児科医会会報で特集した。小児の適切な受診行動、家庭内療養のために茨城県小児科医会がリーフレット「あわてないで!新型インフルエンザ」を作成して、教育委員会を通じて全県の小中学校へ配布した。流行期に夜間休日診療所の診療日・診療時間を拡大した。「新型インフルエンザ情報」(県内流行状況、厚労省の方針、ワクチンについての情報)をMLで医会会員へ提供した(週1-2回の頻度で)。小児科医会と健康危機管理対策室が話し合い、ワクチン接種前倒しを調整していった。それによりワクチン接種開始日が、基礎疾患11.02、基礎疾患小児優先11.16、1歳~未就学児12.01、小学生12.14、中学生12.22、高校生12.28へ前倒しできた。県内で大きな混乱はなく、パンデミックを乗り切ることが出来た。【考察】一次診療の爆発的な増加を抑えること、一時的な一次診療体制拡大、リーフレットによる受診の適正化、予防接種の推進に重点をおいて行動した。茨城県小児科医会と茨城県健康危機管理対策室の密接な連携・情報交換が大きな原動力となった。
Bibliography:P1-E4-5
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.215.0