乳房温存手術におけるCTリンフォグラフィー併用センチネルリンパ節生検の成績

〈緒言〉腋窩リンパ節転移陽性乳癌は全身病と認識され, 縮小手術が推奨されている。乳房温存手術(BCS)にお いて,我々が行っているCT-lymphography(CT-LG)を 併用したセンチネルリンパ節(SLN)生検の成績を報告する。 〈対象と方法〉BCS の適応は日本乳癌学会の基準に従う が,Stage_II_以上の症例では術前化学療法(NAC)を推奨 している。腋窩リンパ節転移陰性と考えられるStage2で は患者の希望に応じてBSC,SLN 生検を施行している。 術前検査で腋窩リンパ節転移のない乳癌(主にStage1) を対象として,SLN 生検を導入した。術前日までにCTLG を施行...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 58; p. 122
Main Authors 赤羽, 弘充, 正村, 裕紀, 宮城, 久之, 中野, 詩朗, 高岡, 正実, 柳田, 尚之, 久慈, 麻里子, 高橋, 昌宏, 花本, 尊之, 及川, 太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2009
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.58.0.122.0

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Summary:〈緒言〉腋窩リンパ節転移陽性乳癌は全身病と認識され, 縮小手術が推奨されている。乳房温存手術(BCS)にお いて,我々が行っているCT-lymphography(CT-LG)を 併用したセンチネルリンパ節(SLN)生検の成績を報告する。 〈対象と方法〉BCS の適応は日本乳癌学会の基準に従う が,Stage_II_以上の症例では術前化学療法(NAC)を推奨 している。腋窩リンパ節転移陰性と考えられるStage2で は患者の希望に応じてBSC,SLN 生検を施行している。 術前検査で腋窩リンパ節転移のない乳癌(主にStage1) を対象として,SLN 生検を導入した。術前日までにCTLG を施行し,乳房リンパ路とSLN の位置を確認して手術に臨む。 水溶性CT 造影剤イオパミドール370を2.0ml 乳輪皮下に注入し,2分間マッサージした上で撮像する。 手術では色素を用いてSLN 生検を行う。 〈成績〉再発例を除いて,10年間で618例の乳癌手術を施 行した。うちBCS は203例(32.8%)に施行した。この 5年間ではBCS 率は22.8%,52.4%,53.8%,42.6%, 75.4%であり5年平均では50%を超えるようになった。 SLN 生検24例の成績。CT-LG によりSLN は全例造影同 定され,色素法での染色検出率82.6%,SLN 生検同定率 は100%。SLN 転移陽性は22.7%で,Level1サンプリン グは40.9%に施行したが,転移陽性例はなかった。 〈考察〉BCS は美容の上でも,QOL の点からも広く受け 入れられており,リンパ節郭清の意義は予後予測因子, stage 決定因子としての意味合いが強く,リンパ節転移陽 性乳癌の治療は化学ホルモン療法が中心と考えられる。 SLN 生検法には,RI や色素を用いる方法,蛍光法などが あり,SLN 検出率,設備・医療機器環境や保険適応,病 理医の負担などの点で様々な問題が包含されている。新た な設備投資を必要とせず,検出率の高いCT-LG 併用SLN 生検は,今後多くの施設で導入可能な方法であると考えら れ,症例の蓄積によりSLN 生検の意義がさらに明らかに なるものと思われる。
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ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.58.0.122.0