3波長の航空機LiDARデータを用いた樹種分類の検討 鈴鹿山脈民有林の事例

急峻な山地の過密で混植された民有林の実態を把握することは森林管理の課題の一つである。近年航空レーザで森林の実態が解析されるが,532nm,1,064nmと1,550nmの3波長のレーザが利用可能となり,解析精度の向上が期待される。このため本研究では3月観測(1,550nm)と9月観測(532nm,1,064nm)のデータを利用し,鈴鹿山脈の急峻で過密な民有林を対象にスギ・ヒノキ・アカマツ・落葉広葉樹の樹種分類への有効性を検証した。レーザの点群データで樹頂点を判定し,樹頂点から半径0.75m内の点群データを抽出して分類用の特徴量を作成した。分離度に基づいて有効な特徴量を選択後,単木単位のセグメン...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本森林学会誌 Vol. 106; no. 3; pp. 57 - 67
Main Authors 和田, のどか, 粟屋, 善雄, 吉田, 夏樹, 宇野女, 草太, 山口, 温
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本森林学会 01.03.2024
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:急峻な山地の過密で混植された民有林の実態を把握することは森林管理の課題の一つである。近年航空レーザで森林の実態が解析されるが,532nm,1,064nmと1,550nmの3波長のレーザが利用可能となり,解析精度の向上が期待される。このため本研究では3月観測(1,550nm)と9月観測(532nm,1,064nm)のデータを利用し,鈴鹿山脈の急峻で過密な民有林を対象にスギ・ヒノキ・アカマツ・落葉広葉樹の樹種分類への有効性を検証した。レーザの点群データで樹頂点を判定し,樹頂点から半径0.75m内の点群データを抽出して分類用の特徴量を作成した。分離度に基づいて有効な特徴量を選択後,単木単位のセグメント画像を作成してサポートベクターマシン法で樹種を分類した。落葉広葉樹と常緑針葉樹の分類の全体精度は落葉期の1,550nmを利用した場合で95.3%だった。常緑針葉樹の3樹種分類では532nmと1,064nmの2波長の反射係数の特徴量を利用すると88.6%と最も全体精度が高く,1波長(1,064nm)の場合より6.7%向上した。1波長に比べて複数波長の反射係数のデータが常緑針葉樹の分類に有効なことを確認できた。
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.106.57