プリオン蛋白遺伝子codon180の点変異とcodon129のMV多型を伴ったCreutzfeldt-Jakob病の1例

認知症で発症し,肺炎の併発とともに急速に失外套状態に進行,約1年の経過で死亡したCreutzfeldt-Jakob病(以下CJDと略)の1剖検例を経験した.症例は80歳男性.CJDの家族歴はない.入院時無動性無言状態で,頭部MRIでは大脳灰白質にdiffuseに高信号を認めた.脳波上周期性同期性放電は認められなかった.プリオン蛋白のDNA解析では,codon180の点変異(Val→Ile)およびcodon129の多型(Val/Met)を認めた.病理学的には大脳皮質の海綿状変化が認められたが,海馬,小脳は保たれ,ラクナ梗塞は認めなかった.また大脳皮質に多数の老人斑の形成を認めた.codon180...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 45; no. 1; pp. 107 - 111
Main Authors 鈴木, 一成, 松村, 典昭, 鈴木, 達也, 中野, 博司, 永山, 寛, 横尾, 英明, 田村, 浩一, 片山, 泰朗, 杉崎, 祐一, 大庭, 建三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 2008
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Summary:認知症で発症し,肺炎の併発とともに急速に失外套状態に進行,約1年の経過で死亡したCreutzfeldt-Jakob病(以下CJDと略)の1剖検例を経験した.症例は80歳男性.CJDの家族歴はない.入院時無動性無言状態で,頭部MRIでは大脳灰白質にdiffuseに高信号を認めた.脳波上周期性同期性放電は認められなかった.プリオン蛋白のDNA解析では,codon180の点変異(Val→Ile)およびcodon129の多型(Val/Met)を認めた.病理学的には大脳皮質の海綿状変化が認められたが,海馬,小脳は保たれ,ラクナ梗塞は認めなかった.また大脳皮質に多数の老人斑の形成を認めた.codon180の点変異,codon129多型を伴う症例は稀であり,文献的考察を加え報告した.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.45.107