amlodipine投与により片頭痛発作頻度が改善した高血圧症例

症例は64歳女性.主訴は間欠性の頭痛.30歳代より拍動性の頭痛があり近医で片頭痛と診断されていた.2001年よりsumatriptan投与を開始され,効果を認めていたが,片頭痛発作頻度が高いため,2005年8月30日当科を初診した.拍動性であり日常動作で増悪する,持続時間4時間∼24時間の中等度以上の頭痛を認めた.前兆は認めなかった.頭痛時に悪心嘔吐を認め,その他の疾患を除外できるため,国際頭痛学会診断基準第二版における診断基準により前兆のない片頭痛と診断した.発作回数は10∼15回/月であった.また,その他の所見として正常高値血圧(134/86 mmHg)を認めた.初診時よりsumatrip...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; pp. 546 - 549
Main Authors 伊賀瀬, 道也, 小原, 克彦, 永井, 勅久, 三木, 哲郎, 川尻, 真和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 2008
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.45.546

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は64歳女性.主訴は間欠性の頭痛.30歳代より拍動性の頭痛があり近医で片頭痛と診断されていた.2001年よりsumatriptan投与を開始され,効果を認めていたが,片頭痛発作頻度が高いため,2005年8月30日当科を初診した.拍動性であり日常動作で増悪する,持続時間4時間∼24時間の中等度以上の頭痛を認めた.前兆は認めなかった.頭痛時に悪心嘔吐を認め,その他の疾患を除外できるため,国際頭痛学会診断基準第二版における診断基準により前兆のない片頭痛と診断した.発作回数は10∼15回/月であった.また,その他の所見として正常高値血圧(134/86 mmHg)を認めた.初診時よりsumatriptan頓用に加え予防療法としてlomerizine投与を開始したが,発作回数は減少しなかったため,2005年11月にlomerizine内服は中止した.2007年5月より高血圧症に対してamlodipine2.5 mg内服を開始したところ,8月には片頭痛発作回数が2回/月に減少した.頭痛インパクトテスト(HIT-6)による患者のQOL評価でも改善を認めた.本症例の経過からamlodipineの片頭痛予防効果が示唆され,さらに老年者においても片頭痛患者が存在し,本症例のごとく片頭痛治療によってQOL改善が期待できる症例があることが示された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.45.546