滑膜性骨軟骨腫症を伴った顎関節ピロリン酸カルシウム結晶沈着症の1例

顎関節に発生した滑膜性骨軟骨腫症を伴ったピロリン酸カルシウム(CPPD)結晶沈着症の1例を経験したので報告する。患者は68歳女性で,右側顎関節部の疼痛と開口障害を主訴に来院した。初診時,右側顎関節部の皮下に骨様硬の腫瘤を触知し開口時の疼痛を認めた。患者は約30年前から右側顎関節部に反復性の疼痛と腫脹を自覚していた。臨床所見と画像所見より,右側顎関節腫瘤型CPPD結晶沈着症を疑い,全身麻酔下に腫瘍摘出術を施行した。病理組織学的検索の結果,滑膜性骨軟骨腫症とCPPD結晶の併存との診断を得た。本症例ではCPPD結晶沈着症が先行し,その炎症反応によって滑膜性骨軟骨腫症が誘発されたものと考えられた。術後...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 31; no. 3; pp. 159 - 163
Main Authors 濱田, 良樹, 重松, 宏昭, 江口, 貴紀, 仲宗根, 康成, 齋藤, 知之, 石塚, 忠利, 中岡, 一敏, 山田, 秀典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.12.2019
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.31.159

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Summary:顎関節に発生した滑膜性骨軟骨腫症を伴ったピロリン酸カルシウム(CPPD)結晶沈着症の1例を経験したので報告する。患者は68歳女性で,右側顎関節部の疼痛と開口障害を主訴に来院した。初診時,右側顎関節部の皮下に骨様硬の腫瘤を触知し開口時の疼痛を認めた。患者は約30年前から右側顎関節部に反復性の疼痛と腫脹を自覚していた。臨床所見と画像所見より,右側顎関節腫瘤型CPPD結晶沈着症を疑い,全身麻酔下に腫瘍摘出術を施行した。病理組織学的検索の結果,滑膜性骨軟骨腫症とCPPD結晶の併存との診断を得た。本症例ではCPPD結晶沈着症が先行し,その炎症反応によって滑膜性骨軟骨腫症が誘発されたものと考えられた。術後8年を経過した時点で再発を示唆する所見は認められなかった。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.31.159