延伸ロールを用いた一軸延伸ポリエチレンテレフタラートフィルムの配向構造

本研究では,工業的な条件で製造されるポリエチレンテレフタラートフィルムの延伸に伴う構造形成を調べるため,延伸ロールを用いて連続的に一軸延伸されたフィルムについて,小角X線散乱と広角X線回折から配向構造を評価した.その結果,90°CではSmectic相,100°Cでは結晶相に対応する回折が観察された.延伸フィルムの小角散乱像には,いずれも延伸方向とその垂直方向に加え,X方向のストリークが観察された.さらに延伸倍率300%以上では,Through像には延伸方向と直交する方向の2点像,Edge像には4点像が現れた.また,Edge像の方が,Through像よりもストリークおよび散乱の強度が強くなった....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in高分子論文集 Vol. 71; no. 11; pp. 593 - 600
Main Authors 岡田, 一幸, 中田, 克, 東大路, 卓司, 高橋, 健太, 大越, 豊, 金谷, 利治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2014
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:本研究では,工業的な条件で製造されるポリエチレンテレフタラートフィルムの延伸に伴う構造形成を調べるため,延伸ロールを用いて連続的に一軸延伸されたフィルムについて,小角X線散乱と広角X線回折から配向構造を評価した.その結果,90°CではSmectic相,100°Cでは結晶相に対応する回折が観察された.延伸フィルムの小角散乱像には,いずれも延伸方向とその垂直方向に加え,X方向のストリークが観察された.さらに延伸倍率300%以上では,Through像には延伸方向と直交する方向の2点像,Edge像には4点像が現れた.また,Edge像の方が,Through像よりもストリークおよび散乱の強度が強くなった.この差は,延伸倍率200%以上ではフィルムの幅が変化しなくなり,厚さ方向のみが変化するようになることと関係するはずである.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.71.593